すっかりオフシーズンに入った日本プロ野球。ドラフト指名選手の入団会見やFA移籍、契約更改などがスポーツ紙の紙面を賑わせます。しかし、その裏で戦力外通告や引退勧告を受け、プロの舞台から去っていく選手たちもいます。

 今年まで広島東洋カープに在籍した広池浩司投手もその一人です。1998年にドラフト8位で指名され、カープに入団。「困ったら広池」という言葉が生まれたことからも分かるように、先発、ロングリリーフ、対左のワンポイントなど、あらゆる場面に対応できる“投のユーティリティー選手”として活躍しました。

 そんな広池投手がカープに入団するまでには、紆余曲折がありました。
 その顛末が今年5月に刊行された『入団への道〜夢を掴むまでの軌跡』(広池浩司/著、ザ・メディアジョン/刊)につづられているのでご紹介したいと思います。

 立教大学時代、1年生のときから外野手として4番を任され、4年生時には主将を務めた広池投手。プロを夢見て必死に練習を重ねますが、結局ドラフトでの指名はありませんでした。
 卒業後、広池投手は野球から離れ、全日空に就職します。しかし、空港でプロ野球の世界で活躍するかつてのライバルたちの姿を見て、心は揺らぎます。仕事に不満はありませんでした。でも、完全に夢を諦められていなかったのです。

 スポーツ新聞でカープの入団記事を見つけ、広池投手はすぐに応募します。受験資格は23歳まででしたが(当時広池投手は24歳)、お構いなしです。さらにポジションは“投手”。そんな異色の存在は見事、“一次テスト”をパス。広池投手はこのチャンスに賭けるために全日空を退職します。
 その後、秋季キャンプなどを通してテストは続きますが、チームの構成上や指名枠の都合上、今年のドラフトでは指名できないことが球団から通告されます。途方に暮れる広池投手に、球団は練習生としてドミニカへ行くことを勧めます。

 ドミニカにはカープ球団が運営する「カープアカデミー」という野球アカデミーがあります。シカゴ・カブスのアルフォンソ・ソリアーノ外野手やサンフランシスコ・ジャイアンツのラモン・ラミーレス投手らもこのカープアカデミー出身です。
 広池投手は迷いなく、ドミニカに渡ることを決意します。そして怒涛のドミニカでの日々が始まるのです。

 この『入団への道』は広池投手のブログにつづられていた同名のエントリを単行本化したもの。ブログは誠実な人柄がうかがえ、かつとても読みやすい文章でファンからも好評です。

 人間は本気でかなえたい夢があるとき、小さな失敗や成功も全て夢への一つの過程として捉えます。だから、もし失敗しても全く挫けません。諦めないこと、挑戦を続けることの大切さ、そして自分を支えてくれる人々に常に感謝する心の大切さが本書からひしひしと伝わってきます。

 今シーズンをもっての引退を表明した広池投手は埼玉西武ライオンズの打撃投手として、新たな道を歩み始めています。
 筆者はカープファンですが、こうした選手がカープにいて、活躍をしたということがカープを応援するモチベーションの1つであり、誇りでもあります。

 カープファンだけでなく、夢に向かって頑張っている全ての人に読んで欲しいと思う1冊です。
(新刊JP編集部/金井元貴)

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