「好きな女の子に振られた」

 そんなとき皆さんはどんな行動にでますか。「傷心旅行」は昔からの定番ですが、高校卒業とともに失恋した小塚拓矢さん(現在、東北大学の大学院生)もそのひとりでした。ですが、その目的は他の人とちょっと違っていました。

 小塚さんの向かった先は東南アジア。目的は「自分より大きな魚を釣って彼女を見返す」こと。

 こうして「怪物」と呼ばれる魚を求めて旅を始めた小塚さんは、幼少時より釣りが好きだったこともあり、次第に「怪物釣り」にのめり込んで行きます。こうした世界中での釣りの記録をまとめた本が小塚さんの著書『怪物狩り』。

 本書には東南アジアから始まり、インド、モンゴル、アマゾン、果てはアフリカまでと巨大魚を求めて彷徨う小塚さんの姿が記されていますが、すごいのはどこに行ってもほとんど身ひとつで突撃すること。それは「この時代、ネットで調べてわからないことは実際に行ってみなきゃ分らない!」という信念によるものだとか。

 しかも小塚さんの行くところは、いわゆる「秘境」ばかり。当然、ネットで得られる情報も豊富ではありません。なので、彼が体得した旅行に関する知識は、とても実践的なものになっています。そのいくつかを拾ってみると、

 「白目が黄色い人は栄養状態がよくないので、協力を頼まない」
 「日本の青年誌(特にグラビア)は世界共通のコミュニケーションツール」
 「クロックスで歩けないようなところには、そもそも行かない」
 「生活に必要なものは、現地でも買えるものばかり。しかも日本より安い」
 「現地の人が日々食べているものこそ旨い」
 「トイレットペーパーなどない。お尻は手をよく濡らしてから直接ふくこと」
 「巨大魚よりも、猛獣よりも、疫病よりも怖いのが、人間」

 特に最後の言葉は、世界中を旅し、さまざまな国の人々と直接ふれあってきた小塚さんならではの実感がこもっています。事実、小塚さんの遭遇した最も危険な状況とは、「タンザニアで夜行バスがゲリラに狙撃されたとき」だったとか。

 こう聞くと普通の人は怖じ気づいてしまうかも知れません。しかし、一歩海外の、それも誰も行ったことのないような場所に足を踏み出せば、他では得られないような貴重な経験が待っているのも事実。秘境の地で得られる出会い、そしてそこでしか釣ることのできない魚たちの虜になり23カ国、453日を釣り歩いたそうです。

 彼女に振られたことで新境地を開いた小塚さん。なにが幸いするかわからないものです。



『怪物狩り』
 著者:小塚 拓矢
 出版社:地球丸
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