小説の中でおきた犯罪を実際の法廷で裁くとどんな刑になるのか?

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 先日、マージャン店経営者ら2人を殺害した被告に対する死刑判決が出ました。
死刑判決は昨年5月から始まった裁判員裁判では初めてのこと。判決後に裁判長が「控訴を勧めます」と異例の発言したことで話題になりました。

 死刑になるか、懲役刑になるかは、殺害した人数・動機・殺害方法、など様々な観点から事件を分析する必要があります。
例えば、映画「陽のあたる場所」で起きた事件を例に挙げますと…。

恋人を殺してしまいたいと思っていた男が、彼女をボートで池の真ん中まで連れて行く。すると彼女が不意に立ちあがりボートから転落してしまう。その拍子にボートは転覆。男は自力で岸まで辿りついたが、泳げない彼女は溺れ死んでしまった。

 これは偶然の事故かもしれません。殺したいと思っていただけで、実際自分では何も手を下していないのです。しかし反対に、まわりに誰もいないのを確認した後に彼女を突き飛ばし、ボートは自分で傾けて転覆させた可能性もあります。

 映画ではこの男は最終的に死刑になりますが、現実で起きていた事件だった場合はこのようなケースは偶然の事故か、殺人かを判断するのはとても難しいことです。殺人だと断定できる証拠がないのです。

 男は殺すつもりで泳げない彼女をボートに乗せていますから、殺人の予備をしたと言えます。
さらに、一人で泳いで逃げることは犯罪ではありませんが、もし助けるのが容易だったなら遺棄罪(見捨てたり置き去りにする罪)が問題になるかもしれません。とは言え死刑になる可能性は低いと考えられます。

 『あなたが裁く! 「罪と罰」から「1Q84」まで―名作で学ぶ裁判―』(森炎/著、日本経済新聞出版社/刊)では元裁判官の著者が、『死刑台のエレベーター』、『羊たちの沈黙』『模倣犯』など過去話題になった映画や小説での主人公が、実際の裁判にかけられたら死刑か無期懲役か?と、どの刑が相当なのかを解説しています。

 誰もがいつ「裁判員」に選ばれるかわかりません。本書を読んで、刑事裁判とはどういうものか、勉強してみてはいかがでしょうか。
(新刊JP編集部/川口絵里子)


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