石田卓也さん、池松壮亮さん
 福岡の炭坑町を舞台に、貧しくも力強く生きる人々を描く「信さん・炭坑町のセレナーデ」。福岡でのオールロケを敢行し、昭和30年代後半から40年代前半にかけての炭坑町が、リアルに再現され、私達の中に忘れていた何かを思い出す、胸が熱くなる世界--。今回は、公私共に仲が良く、「人」との繋がりをとても大切に描かれている作品に出演した池松壮亮さんと石田卓也さんに、役を演じる姿勢や恋愛観などを聞いてきました。

――人間をリアルに描くことに定評のある平山監督作品に、出演が決定した時はどんなご気分でしたか?

石田卓也(以降石田) :僕は監督の作品が大好きなので、今回、その大好きな監督とお仕事ができると思いすごく嬉しい気持ちだったんですよ。平山監督の現場かと思うと、少し力が入りました。

池松壮亮(以降池松) :僕も同じような思いでした。それと個人的には、小雪さんとの親子役が何年かぶりかだったのと、岸部一徳(きしべいっとく)さんと光石研(みついしけん)さんとも久々の再会でしたのでそれも嬉しかったですね。

――演技派の人達ばかりが揃っていましたが、現場の雰囲気はどうでしたか?

石田 :以前一緒にお仕事をしたことのある方ばかりだったので、すごく久しぶりにまたご一緒できて嬉しかったですね。

池松:僕はまだ福岡に住んでいたので、福岡の地を映画に残せるというだけで嬉しかったです。皆さんにとっては地方ロケだけど、自分にとっては地元というのも楽しみでしたし、皆さんが福岡に来てくれたのが本当に嬉しかった。

――撮影をしてみて地元・福岡に対しての印象が変わりましたか?

池松:昔も今も、福岡の人達の根っこはそんなに変わらないと思うんです。福岡の人達のたくましさや温かさは変わらずにずっとあると思いますので、多分平山監督もそれを感じていたから今回の映画を撮ろうと思ったんだと思います。

――ノスタルジーな感じが随所に伝わってきました。オールロケーションで、見事な昭和30年代という雰囲気を再現されていましたよね。

石田 :エキストラの皆さんは現地の人だったんですが、皆さん気軽に話しかけてくれたり、差入れも持って来て下さったりして、とても温かい感じですごい空気感はあったなと思います。

池松:福岡に住んでる人達は意外と知らない間に、炭坑町のこととか昔からの知識がについてるんだと思うんです。だからなのか、その時代に僕が生きていたわけでもないのに、何だか懐かしいと思えましたしその時代の人間ドラマが描けていると感じましたね。

――石田さんが演じられた札付きの悪で寂しさを持ち合わせていた中岡信一に対して何か印象は?

石田 :逆境が訪れても強くたくましく生きていて、まさに“男”って感じで格好いいと思います。

――自分の母親に恋心を抱く親友を持つ池松さんの守は、色々複雑だったと思いますがどんな印象を持ちましたか?

池松:色んなテーマを持ってやっていましたが、やっぱり一番大きかったのが、母親に自分の一番尊敬する人が恋心をもって接している というところで、色々考える部分がありました。