つまり多くの人は、「岡田サンではダメだ」などと平気で言い出す僕のような人間や意見に慣れていないのだ。「日本代表は本大会で3連敗するかもしれない」などと述べるライターは、日本中を見渡しても少数派。サッカー以外では皆無に等しい異分子と言ってもいいだろう。
非国民呼ばわりされる理由は、分からないではない。しかし、僕はファンではない。スポーツライターであり、(あまり自分の口からは言いたくないけれど)ジャーナリストにカテゴライズされる。日本対韓国が対戦すれば、日本人ではあるけれど、中立の立場でものを眺めるのが、僕に課せられた職業的な使命だ。その結果「日本危うし」と思えば、「大丈夫」とか「勝てる!」とは言えなくなる。

だが世の中は、そうした存在に慣れていない。中立的な人間は、珍しい存在で通っている。応援精神溢れる熱狂的なファンは、非国民として僕を扱う。中立的な立場で思ったことを述べようとする人の居心地は良くない。非国民扱いされても僕のように平気でいられる風変わりな人間が、増加する可能性は低いのだ。

ネットの普及で、その傾向はますます強まっている。それは日本のスポーツ界にとって、決して良いことではない。僕にはそうした確信がある。日本のスポーツ界にあって、サッカーがそれでもまともに見える理由だと信じて止まない。

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