昨日、新刊JPニュースでレポートをお送りした大沢オフィス所属の3人の人気作家、大沢在昌さん、京極夏彦さん、宮部みゆきさんによる朗読会「リーディングカンパニー」(レポート記事はこちら!
 2002年から始まったこの朗読会は今年で9年目、そして、いよいよ来年10年目を迎える(来年の開催日は記事の文末を参照のこと)。その節目にあたり、3人はこの朗読会に対してどのような想いを持っているのか。本番前日の11月5日、新刊JP編集部はリハーサルの場にお邪魔し、3人にインタビューを行った。今回はそのインタビューの前半部分をお届けする。(後半は明日配信!)

 ◇   ◇   ◇

―今年で9年目となる「リーディングカンパニー」ですが、ステージに上がるときにまだ緊張などはあるのですか?

大沢 「我々はプロじゃないけれど、お金を頂いているわけですし、北海道から九州まで日本全国からお客様が来ていますから、やはり満足して帰ってもらいたいという気持ちは強いですね」

宮部 「本番でそれまでかんだことないようなところでかんでしまったり、むせてしまったりとか、そういうアクシデントが起きるんじゃないかっていう緊張感はあります。それだけはどうしようもないので」

―京極さんはいかがですか?

京極 「お客さんがどんな顔をされるのかというのは気になりますね。自分たちが上手く読めたかどうかではなくて、噛んでも笑ってもらえるならいいです」

大沢 「でも、(お客さんの)顔見えないじゃない、暗くて(笑)」

京極 「分かりますよ。サーっと(お客さんに)引かれたら悲しいですからね。喜んでいただけたならスベってもいいんですが、こればかりはやってみないと分からないです」

―リハーサルの様子を見学させて頂いたんですが、すごく3人ともお上手で驚きました。

京極 「でも、ほとんど練習しないんですよ」

宮部 「あんまり時間が取れないんですよね」

京極 「朗読に関しては素人ですから、そうそう上手くはできませんよ。だから客席からどんな風が吹いてくるのか、その風をどうとらえるか、ですね。そこはハラハラしますね」

大沢 「でも、お客さんは我々の一生懸命さを見ているよね」

京極 「プロでもないのに懸命にやっているところを見ていらっしゃると思います」

宮部 「子供さんの学芸会を見ている親御さんみたいな表情をしている心配顔のお客様もいらっしゃると思います。『うまくいくのかしら!』って(笑)」

―皆さんお上手ですよ(笑)!大沢さんはダンディで惚れてしまいそうになるくらいでした。

宮部 「今回はスイートな演目でしたからね。練習のときから『俺は嫌だ!』って言ってましたけど(笑)」

大沢 「今回の演目は自分で決めていないんです。演出の河野(大沢オフィススタッフ)に『これがいい!太夫(山椒大夫/大沢さんのニックネーム)、やれよ』って感じで言われて。自分としては『え、これかよ!』って感じでした」

宮部 「さらに私たちが茶化しますからね。『愛してるんだ!』とか言って(笑)」

―京極さんはファンの皆さんからレインボーボイスとして熱い支持を受けていらっしゃいます。

京極 「朗読は、基本的に一本調子できちんと読むのが正しいありかただと思うんです。目を瞑って聴いていただくくらいでいい。でも、僕らのはしょせん素人芸ですから、わかりやすくしなくちゃいけない。スクリーンに背景を映したり、BGMをかぶせたり、それはぜんぶ足りなさを補完する演出ですね。宮部さんにはコスプレという武器がありますが(笑)僕には何もないので、せめてわかりやすく読もうという工夫というか努力がありまして。せめてキャラクターごとにメリハリをつけないといかんだろうと。僕自身は日本声色大会しているわけではないんですが」

宮部 「でも、だんだんそうなりつつありません?」

京極 「いや、今回はむしろおとなしいですよね。アドリブもないし」

大沢 「(京極さんのレインボーボイスは)当日、会場でCDをお求めになるなりして聞いて欲しいですね」

―今回、第一部で宮部さんが着ぐるみを着て朗読をすると聞いたのですが…。

宮部 「そうなんです(笑)。第2回目以来かな、着ぐるみは」

大沢 「前にやったとき、すごくウケたんですよ。『かわいい!』『反則です!』っていう声がすごかった(笑)」

宮部「でも『真面目にやってください』という声もあったんですよ」

大沢 「いや、真面目にやっていますよ」

京極 「反則ではありますけどね」

大沢 「だから、(宮部さんが)この朗読会に対してテンションはいつも一番高いんですよ」

宮部 「はい、いつも楽しみにしています(笑)」

―お話を聞いていると、それぞれすごく朗読を楽しんでいらっしゃいますよね。

大沢 「この朗読会って、大沢オフィスの年に1度の文化祭みたいなところがあるんです。スタッフ全員で運営する手作りの朗読会なんですね。だから、我々が嫌々やっていたらスタッフはもっと辛いでしょうし、普段と違う空気の中で、面白がってやりたいですよね」

京極 「それから、これはチャリティーなんですね。一銭も儲からないんです(笑)」

大沢 「スタッフも休日出勤だしね」

京極 「もちろん照明や音響のスタッフはプロですからギャラをお支払いしてますが、会場費以外は全部、寄付しています。ということは、ですよ。何かよりかかるものがないと、モチベーションが保てないんですね」

大沢 「我々もノーギャラですから」

京極 「どうでも盛り上げないと参っちゃう。ふん張っても高額の寄付はできないわけで」

宮部 「年1回だけですからね」

京極 「ええ、誰かのお役に立ちたいという志はあるんですけど。ですから、せめてスタッフには気持ち良く働いて欲しいし、お客さんには喜んでいただきたいという」

宮部 「あと、嬉しいのは視覚障害をお持ちの方が聴きに来てくださるんですよ!」

大沢 「そうなんです。盲導犬を連れて来られる方が毎年必ずいらっしゃいます」

宮部 「声と音楽と効果音だけでもすごく楽しいって言ってくださって」

京極 「それ、嬉しいですよね」

大沢 「やって良かった、って」

 ◇   ◇   ◇

インタビュー後半はこちらから!

また、いよいよ10年目を迎える来年の開催日が発表されているので、こちらもチェックだ。

◆「リーディングカンパニー vol.10」
日時:2011年10月29日(土曜日)
会場:光が丘「IMAホール」

(新刊JP編集部/金井元貴)


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