経済成長が著しい中国では、特権階級層の人々が国外に流出する事態が増えている、と欧米のメディアが伝えている。米国の雑誌「The Epoch Times」のウェブサイトでは、本来ならば経済成長の恩恵を受けられるはずの中国のエリート層が、なぜ国外に脱出しようとしているのかについて、述べている。

 これは、89年に起こった天安門事件に端を発しているとの見方を紹介している。国家は民主化を求める国民を武力で封じ込めたが、これは中国の富を一部の特権階級が吸い上げることに拍車をかけた。エリート層は富を築くことにより腐心し始め、自分の身内しか信じないという風潮も高まってきた。

 またエリート層の汚職や腐敗について例を挙げて紹介している。特権階級層は、国有企業と国有の土地を売却することができ、外国から法外に安い価格で仕事を受注、田舎から都市部に流入してきた不法滞在者や服役囚などを不当に安い賃金で雇ってしのぐ。国営銀行からの借入金は「外国資本とのやり取りで帳簿を紛失」といった理由で返済を行わない、また銀行もそれを承認するといった方法もあったとつづる。

 第16期中国共産党中央政治局委員の陳良宇(ちんりょうう)氏は、07年8月に収賄と職権乱用容疑で逮捕された際、複数国のパスポートを所有していたという。ほかにも家族や子弟をそっと外国に移住させる中国エリート層も多いと記している。

 筆者は、中国では経済成長に伴って、国民のモラルや人権が上がってきていると述べる。これが汚職の告発などにつながっており、特権階級層はこれまでに蓄えた富を携えて亡命を図るようになったようだ。高度経済成長期にある中国だが、それまで政治や経済の中心にいた層が、次々に国外脱出しているという矛盾した一面も世界に見せている。(編集担当:山下千名美・山口幸治)



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