iPadの発売や各出版社の本格参入で、2010年は電子書籍元年とも呼ばれています。そんな年にふさわしく、日本で初めての「電子書籍・コミックサミットin秋葉原」がAKIBA_SQUARE(秋葉原UDX2F)で11月12日から14日まで開かれました。

 初日には、角川ホールディングスの角川歴彦会長が基調講演。「出版社はネット化する」「出版社はソーシャル化する」という仮説をもとに持論を展開。電子書籍の販売には、書店のような「プル型事業」ではなく、「プッシュ型事業」としていくことが重要だと言い、新たな出版社のあり方について方針を述べました。

 続いて、角川グループが12月より開始する、電子書籍の配信サイト「BOOK☆WALKER」の初リリース作品の発表へ。映画でもヒットした小説『ダ・ヴィンチ・コード Special Illustrated Edition』などの文芸作品や、ジャーナリスト・池上彰著の『知らないと恥をかく世界の大問題』などの新書。また、10代読者に人気のライトノベルからは『涼宮ハルヒの憂鬱』『バカとテストと召喚獣』などアニメ化された人気作品や、『新世紀エヴァンゲリオン』『ケロロ軍曹』『テルマエ・ロマエ』など幅広い年代から支持を得ている作品がラインナップされることを発表しました。

 そして、『新宿鮫』などでおなじみの直木賞作家・大沢在昌氏が登場。書き下ろしの新作『カルテット』を紙の本よりも早く、電子書籍で刊行することが明らかになりました。来年1月には福田沙紀主演でテレビドラマ(TBS系)もスタート。コミック化も予定され、作画家を一般公募するとのこと。各メディアをフルに活用した一大クロスメディア企画であることが発表されました。

 大沢氏は「10年前に構想し、最も多くの人に受け入れてもらう形は何かと考えていました。そのときは電子書籍という言葉も頭にはなかったのですが...」とコメント。執筆に5年を要し4つの物語は書き上げたが、これからも書き続けたい作品だと話しました。

 この日はほかに、長く週刊ジャンプの編集に携わった、集英社の鳥嶋和彦・専務取締役による講演「デジタルコミックの海外展開」や、『亡国のイージス』などのヒット作がある福井晴敏氏と講談社の野間省・代表取締役副社長による電子書籍の未来についての対談がおこなわれました。最後には、アマゾン、NTTドコモ、米ソニー・エレトロニクス、アスキー総合研究所、経産省など、電子書籍にかかわる各分野の代表によるシンポジウムが開催され、電子書籍の最新情報と未来について、活発な意見交換も。

 各業界とも、電子書籍に関する技術革新を進め、利用者拡大に向けて尽力していることが伝わってきた今回のサミット。この思いが一般の利用者にどこまで伝わるか、将来の動向が気になるところです。

 アスキー総合研究所によるアンケートによると、現在実際に電子書籍を利用しているのは約10%で、その中心層は20代男女。「今後利用する」「今後利用するかもしれない」という人を合わせると、約半数が利用に前向きであることが明らかになりました。残りの半数は、「今後も利用しないと思う」「今後も利用しない」などの消極派で、この層をいかに電子書籍の読者にしていくかが、今後の鍵となりそうです。







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