森の奥で開かれる秘密のイベント

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 小さい頃、親だと思って後ろを歩いていたのに、ふと気がつくと全く知らない人について行ってしまい迷子になったことがあります。今思うと大したことではないのですが、「迷子になる」ということは子供にとっては大変な事態で、突然襲ってきた孤独と恐怖の感覚を今でも覚えています。

 『もりの おくの おちゃかいへ』(みやこしあきこ/著 偕成社/刊)では主人公の女の子、キッコちゃんがおばあちゃんにケーキを届けるというおつかいの途中で、お父さんを見失ってしまいます。転んでケーキはペッチャンコに…。お父さんとクマさんを間違えて、たどり着いた見知らぬ建物では動物たちのお茶会が開催されていました。寒い冬の日なのに、やぎ、しか、くま、うさぎなどのたくさんの動物たちが集まっていました。

 白黒で描かれているちょっと不気味とも言える動物たち。新入りのキッコちゃんを見つめるその視線は鋭くこっちを見つめていて、まるで自分がお茶会に紛れ込んだような、不思議な世界に招かれた気分になります。動物たちが持ち寄った色鮮やかなケーキは本当に美味しそう!最初は不安だったキッコちゃんがどんどん楽しい気分になっていく様子が生き生きと伝わってきます。

 細かいタッチの絵が美しく、子供だけではなく大人も楽しめる絵本。温かいお家の中で読んでほしい一冊です。
(新刊JP編集部 川口絵里子)

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