■ アジア大会

アジア大会が開幕。元川崎フロンターレの関塚隆監督率いるU-21代表チームは初戦で開催国の中国代表と対戦。このグループは、中国、日本、マレーシア、キルギスの4チームが同居。マレーシアとキルギスの試合は2対1でマレーシアが勝利している。グループリーグで2位以内に入ったチームと、グループ3位の中で成績の良かった4チームが決勝トーナメントに進出できる。

日本は<4-2-3-1>。GK安藤。DF鎌田、鈴木、薗田、實藤。MF山口、山村、水沼、東、山崎。FW永井。DF實藤、MF山村、FW永井の3人が大学生。DF鎌田、MF水沼、MF東がJ2のチームに所属している。

■ アウェーで完勝

立ち上がりから素早いパス回しで中国を翻弄した日本は前半7分にFW永井の意外性のあるパスから裏のスペースに抜け出たMF山崎が左足で豪快に決めて先制する。その後は日本の中盤にパスミスが増えて中国のサイド攻撃にピンチを作られるシーンもあったが、センターバックのDF鈴木、DF薗田が跳ね返して無失点で前半を終える。

後半も立ち上がりは中国に攻め込まれたが、後半13分にMF東が右サイドからクロスを上げると、GKがはじいたボールをFW永井がうまく押し込んで2点目。さらに後半19分にはセットプレーからMF水沼のボールをDF鈴木が合わせて3点目を挙げる。

その後も、カウンターを主体にチャンスを作った日本が、そのまま3対0で日本が勝利。大アウェーの中で素晴らしいスタートを切った。

■ 主力を欠くも・・・

2012年のロンドン五輪出場を目指す関塚ジャパンであるが、今大会はベストメンバーとは程遠い構成になっている。ドルトムントのMF香川はもちろんのこと、Jリーグで主力として活躍しているほとんどの選手はJリーグを優先してメンバーに選ばれていない。

おそらく、ベストメンバーを招集したとしたら、今回のメンバーで確実に招集されると思われるのは、大学生のFW永井くらいであり、他に、MF東、MF山崎、MF山村、DF鈴木あたりはメンバーに招集される可能性はあるが、残りのメンバーは苦しい。ということで、非常に難しいメンバー構成となったが、さすがに関塚監督といったところで、見事にチームを作ってきた。

システムも、戦い方も、ザッケローニ監督の日本代表とよく似ていて、このチームの指導の前に、アルゼンチン戦と韓国戦という適切なサンプルがあったのも大きく、初戦ということを考えると、文句のつけようのないくらいの出来だった。グループリーグは3位になっても勝ち残れる可能性があるので、3対0というスコアでほぼ突破は確実となった。

■ 1トップの永井

攻撃で際立ったのは1トップに入ったFW永井。大学4年生でまだ進路は決まっていないが、FC東京、浦和、神戸、名古屋といったチームが争奪戦を繰り広げている逸材である。今シーズン、指定選手としてヴィッセル神戸でもプレーしているが、インパクトのあるプレーは見せられずにいたが、同年代のチームに入ると別格の存在だった。

1トップ向きではないようにも思うが、しっかりと前線でボールをキープし、2列目の選手にボールを落とすプレーも正確で、素晴らしかった。もちろん、圧倒的なスピードが最大の魅力で、中国のDFをきりきり舞いにした。これほどスピードのあるFWというと、フランスW杯の最終予選のイラン戦でVゴールを決めた現ガイナーレ鳥取の岡野雅行が思い出されるが、FW岡野よりもストライカーとしての資質を備えていて、得点力もある。

ロンドン世代は、MF香川、MF宇佐美、MF金崎、MF原口、MF清武、MF河野といった2列目のアタッカーに人材が集中していて、1トップタイプの不在が心配されていたが、この日のFW永井の圧倒的なパフォーマンスを見ると、レギュラーはFW永井で決まりのような感じさえ受ける。

■ 先制ゴールの山崎

前半のみで交代したジェフ千葉のDF鎌田のパフォーマンスは今一つだったが、他のメンバーはいずれも及第点以上のプレーだった。不安視された中盤も攻守にわたってハードワークして、中国の中盤を上回った。

2列目に入ったのは、MF東、MF水沼、MF山崎の3人。ジュビロ磐田のMF山崎はナビスコカップの決勝でもゴールを決めているが、ここ数年は怪我に苦しんでいた。もともと能力のある選手で、ここに来てようやく磐田でも試合に出場できるようになってきたが、U-19時代はチームの中心であり、得点源になっていた選手。左サイドでどうかと思われたが、前半のプレーは非常に見事だった。

相手に先制点を奪われると難しい試合になっていただろうが、前半7分という早い段階でゴールが奪えたのがこの試合の一番のポイントであり、豪快な左足のシュートは鮮やかだった。後半はやや消えてしまったが、価値あるゴールだった。

■ ダブルボランチ

ダブルボランチはMF山村とMF山口のコンビ。流経大のMF山村は南アフリカ大会でバックアップメンバーに入っており、来シーズン、J1チームの争奪戦となることが予想される逸材であるが、なかなか90分を通してプレーを観る機会はなくて楽しみだったが、184?という体格を生かした守備は堅実で、つなぎも器用なことは出来ないが悪くはなかった。

1点目のMF山崎のゴールはMF山村が空中戦で競り勝って生まれたチャンスだったが、あの位置に空中戦に競り勝てる選手がいると大きい。将来的にボランチになるのか、センターバックになるのか分からないが、ポテンシャルがあっていい選手である。

一方、セレッソ大阪のMF山口はチームメイトのMF黒木を押しのけてスタメン出場。C大阪での序列ではMF黒木の方が上であり、MF山口はベンチに入る機会も少なく、時折、チャンスを得ても、パニックに陥って持ち味を発揮できないことが多かったが、この日は落ち着いていた。

攻撃力があってロングボールに魅力があるMF黒木と比べると、バランサー的な資質に優れてショートパスの精度も高いので、このチームではMF山口が優先されるのだろう。難しいパスを通そうとしてカットされるシーンもあったが、及第点のプレーだった。

■ 踏ん張ったセンターバック

どの年代でも弱点となるセンターバックは、アルビレックス新潟のDF鈴木と、川崎フロンターレのDF薗田のコンビ。まだ、J1での経験は少なくて、中国は高さがあるので心配していたが、90分を通して素晴らしい対応を見せて、ほとんど危ないシーンは作らせなかった。センターバックはこの年代も人材を欠いているが、この二人に目途が立ったのは大きい。

GK安藤も落ち着いていた。この年代ではすでに日本代表にも選ばれているFC東京のGK権田が飛び抜けた存在であるが、この試合でのGK安藤もほとんどミスがなく、キャッチングも安定していた。フルメンバーが揃っていなので、ほとんどのポジションで不安な要素があったが、見事に覆すだけのパフォーマンスを見せたといえる。

■ 地元で完敗

一方の中国はまさかの初戦で黒星。しかも、0対3というショッキングなスコアで、見通しは暗いといわざる得ない。キルギス、マレーシアとの対戦なので、グループリーグは突破できるだろうが、相変わらず攻撃に変化は乏しく、単調なものであった。「事前に15試合ほどの強化試合を行っていて、ベストメンバーに近い。」という情報もあったが、さすがにそれは間違いだろう。3試合ほどの練習試合を行っただけの日本よりも完成度は著しく低かった。

尖閣諸島の問題が再燃していて、心配された反日運動だったが、表面上では大きな問題はなかったとように見えた。さすがに、この試合の内容と結果の試合を見せられると、暴動を起こす気にもなれなかったのではないだろうか。それほど、日本は見事なスタートを切った。

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