【日本″未解決事件″犯罪ファイル15】  胸と内臓を刃物でえぐり取られ......切断された島根の女子大生殺害事件から1年

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何かが狂ってしまった現代社会。毎日のようにニュースに流れる凶悪事件は尽きることを知らない。そして、いつしか人々はすべてを忘れ去り、同じ過ちを繰り返してゆく......。数多くある事件のなかでも、未だ犯人・被疑者の捕まっていない"未解決事件"を追う犯罪糾弾コラム。 

【第15回】
女子大学生被害死体遺棄等事件
(2009年10〜11月)

 2009年11月6日、広島県北広島町東八幡原の臥龍(がりゅう)山中の崖下で、前月の26日夜から行方不明になっていた島根県立大総合政策学部1年生・平岡都さん(当時19歳)に酷似した若い女性の頭部が発見された。第一発見者は山にキノコ狩りに来ていた男性で、頭部が落ち葉の上に置かれていたのを見つけて警察に通報。駆けつけた警察によると、セミロングの髪型が判別でき、首には刃物で切断されたような跡があったという。

 島根・広島の両県警は、殺人・死体損壊遺棄事件として捜査を始めた。

 翌7日、DNA鑑定により、被害者を前述の都さんと断定。また、司法解剖の結果、顔面には殴打された形跡があり、内出血していたことも発表された。

 最初の頭部発見以降、7日に林道入り口近くの雑木林から左大腿骨の一部、8日には頭部発見現場の近くで両手足のない胴体部分、9日には左足首、19日には林道付近に落ちていた動物の排泄物から被害者の爪が発見され、後日、すべて都さんの遺体の一部であることが確認された。

 それぞれ遺体の状況は、通常の感覚を持つ人間ならば直視することすらできない残忍なものだった。都さんはバラバラに解体されただけでなく、きわめて"猟奇的"な手が加えられていたのだという。その一例を上げると、胴体部分の胸は刃物によってえぐり取られ、腹部は内臓の大部分が取り出されていた。あまりの残忍さに、警察の捜査でも「被害者は人間以外の動物に食いちぎられたのではないか」という意見が出たほどである。また、胴体全体に焚き火などにより焼けた跡があり、顔には殴打された痕、左頬には足で踏まれた跡が付いていた。

 日本の犯罪史上でも類例のない、人間の所業とは思えぬ凄惨な猟奇殺人事件である。

 一体、彼女の身に何が起こったのだろうか──。

 香川県坂出市出身の都さんは、09年春に県立高松商業高校を卒業し、島根県立大に入学。夢を抱いて進学し、学生寮で一人暮らしを始めてようやく半年が経ったばかりの惨劇だった。

 遺体発見の前月10月26日。彼女は大学の授業に出席したあと、午後4時30分から島根県浜田市港町のショッピングセンター内にあるアイスクリーム店でアルバイトをしていた。午後9時15分頃、アルバイトを終えてショッピングセンターを出る都さんの姿が店内の防犯カメラに映っていたが、自宅に向かう道路沿いに設置された複数の防犯カメラに姿は捉えられておらず、寮には帰宅した形跡もない。

 翌27日の午後5時半頃、都さんの母親が携帯電話にメールや電話をしたものの、連絡が取れず、28日のアルバイトにも出勤しなかったため、都さんの家族により、島根県警浜田署に捜索願いが提出された。

 アルバイト先と都さんの寮は約2kmの距離しかなく、徒歩で移動していたと見られている。しかし、その一帯は夜になると真っ暗になって人通りもほとんどなく、周辺住民からも危険とされているエリアである。実際、帰路に不安を感じた都さんは、友人が店を辞めたことをきっかけに、自分も10月28日に辞めることを決めていた。あと数日早ければ、都さんが被害に遭うこともなかったかもしれないと思うと、残念でならない。

 行方不明時の服装は、白と黒のボーダーのワンピース。決して派手ではなく、犯罪を誘発する性質の服装でもない。寮の部屋は荒らされておらず、彼女の銀行口座から現金が引き出された形跡もなかった。

 ボランティアサークルに所属していた都さんは真面目な性格で、授業の欠席はほとんどなく、成績も優秀。将来は英語を活用できる仕事を目指し、海外留学の夢もあったという。

 しかし、無限の可能性が広がる彼女の未来は、決して許すことのできない残忍で身勝手な犯罪者の手により、19歳の若さで絶たれてしまった。

 アイスクリーム店を辞めたあとにアルバイトをする予定だった居酒屋の面接では、「親に負担をかけたくない」と語っていたという。そんな親孝行の優しい気持ちなど、女性の顔を踏みつけるような犯人には分かるまい。

 事件発生から1年。警察はこれまで延べ6万人もの捜査員を動員したものの、現場に残された物証はほとんどなく、不審な車や人物などの情報も捜査線上から次々と消えてしまった。猟奇的趣味を持つ周辺の人間を徹底的に探るべく、島根・広島全域のレンタルビデオ店の会員リストまで調べたと言われているが、捜査は依然として難航......。都さんの無念は晴らされないまま、臥龍山の発見現場を彷徨っている。

 島根県立大学では、校内に都さんの慰霊のために花壇を設置。英語が得意で海外留学を目指していた彼女の想いを引き継ぐ意味を込め、その花壇は"Garden of Hope(希望の花園)"と名付けられた。

 都さんの家族や友人が、一刻も早く墓前に犯人逮捕の報告できるよう、そして少しでも笑顔を取り戻せるように、心から祈りたい。
(取材・文=神尾啓子)

<被害者の情報>
名前:平岡都さん(当時19歳)
学校:島根県立大学総合政策学部(当時1年生)
特徴:147cmぐらいの細身、セミロング
被害当時の服装・所持品:
白黒のボーダー模様のフード付きワンピース、黒色のレギンス、黒色の靴、黒色のバッグ

<情報>
捜査特別報奨金:上限300万円(2011年2月25日まで)※延長の可能性あり

<連絡先>
島根県警察・広島県警察合同捜査本部
TEL.0120-385-301(フリーダイヤル)



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