【斉藤アナスイの本棚】「マンガの擬音」をメキョッ!する

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マンガの表現として欠かせない擬音語・擬態語(以下「擬音」で統一)。例えば静けさを表すポピュラーな擬音のひとつ「しーん」は、あの漫画の神様、手塚治虫先生が考え出したと言われています(「死〜ん」は漫画太郎先生)。そんなわけで今回は、長年マンガを支え続けている「マンガの擬音」に注目してみたいと思います。


マンガ家の個性が表れる「擬音」例えば誰かが何かを食べるシーン。僕なんかですと「モグモグ」、頑張っても「ハフハフ」とか「ガツガツ」ぐらいしか思い浮かばないんですけど。これがプロのマンガ家になると違ってくる。

『カイジ』(福本伸行)
→「うし…うし…」(焼き鳥)
『バキ』(板垣恵介)
→「ガモ…モニュ…」(ステーキ)
『ジョジョの奇妙な冒険』(荒木飛呂彦)
→「スビズバー」(スパゲティ)
『うちの妻ってどうでしょう?』(福満しげゆき)
→「パカパカカカカ…」(納豆ご飯)

なるほど食べるものによっても擬音を使い分ける、と。「パカパカカカ…」なんてご飯をかきこんでる様子がよく現れていますよね。「うし…うし…」もいかにもカイジらしい。カイジ確かにうしうし食べそうだもん。このように、同じ様なシーンひとつとっても、マンガ家によって擬音は大きく異なります。

擬音のスペシャリスト 荒木飛呂彦上の例でもあげましたが、マンガの擬音を語る上でやはり荒木先生は外せません。『ジョジョの奇妙な冒険』の「ゴゴゴゴゴ」などは、あまりにも有名な擬音。ほかにもキスシーンで「ズキュウウゥン」、殴るシーンで「メメタァ」など、マンガ史に残した伝説的な擬音は数知れません。

心に響くその響きというか語感もそうなんですけど、荒木先生の使う擬音ってデザイン的だなぁと。絵に馴染むというか、メメタァとかすごいこと言ってるのに違和感がない。あと擬音は関係ないんですけど、荒木先生自身、歳をとってもまったく老けないところもすごい。「僕は何部が好き」とか言うと論争になるのでやめておきますが、やはり『ジョジョ』はすごい作品です。


ギャグマンガにおける擬音何でもありのギャグマンガでは、やっぱり擬音も何でもありになる傾向にあります。例えば『さよなら絶望先生』(久米田康治)では、メールを打つシーンでの擬音が「めるめる」。ほかにも水着になったシーンで「ひんそ」とか。シリアスなマンガに比べて、擬音も緩くなるようです。

ギャグマンガの中では『浦安鉄筋家族』(浜岡賢次)の擬音も大好き。ギャグだけでも充分面白いんですけど、擬音がつくことでさらに破壊力アップ。例えば孫を抱き上げるシーンを「ちぼーん」と表現するあたり、『浦鉄』って素敵なマンガだなと。では、ここで問題です。『浦鉄』で「キャウィー」という擬音がついたのはどんなシーンでしょう。正解は「虫捕りババア様がひったくりを捕まえるシーン」でした。ちなみに『浦鉄』は、ほぼ全コマに面白い擬音があります。すごい。

擬音を超えた擬音例えば『カイジ』の「ざわ…ざわ…」だったり、例えば『ジョジョの奇妙な冒険』の「ゴゴゴゴゴ」だったり。それらはもう普通の擬音の域を超えてしまっている気がするんです。下手したらマンガ自体よりそっちのほうが有名なんじゃないかって思うぐらい。だってその擬音を見ただけで何のマンガかわかってしまう、ってすごいことでしょ。「パンチラ見ただけで桂正和とわかる」ぐらいのレベル。超擬音とでも言いましょうか。

それでここまですごい擬音だと、リアルな世界にも浸食してくる。あの、僕『カイジ』すっごい好きなんですけど、例えば緊迫した場面なんかで「ざわ…ざわ…」が勝手に脳内で再生されるんですよ(ラーメン二郎で食べきれなそうなときとか)。『ジョジョ』好きな人もたぶん待ち合わせしてるときなんかは、小ちゃい声で「ゴゴゴゴゴ」って言いながら待ってると思うんですよ。周りにバレない程度に軽くジョジョ立ちしながら。


いかがでしたでしょうか。今回は紹介できませんでしたが、高橋留美子先生なんかも擬音のスペシャリスト。皆さんも是非擬音に注目してマンガを読んでみてください。

(テキスト&イラスト 斉藤アナスイ)


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