ビジネスやスポーツには「勝負どころがある」といいます。

 セールスパーソンであれば、重要顧客が発注を決定するかどうかの場面。商品開発者であれば、社運をかけた商品をつくりだす時。スポーツであれば、オリンピックでのメダルのかかった試合。どうしても勝たなければ、高い評価が得られないときのことです。しかしそんなときこそ、勝つことは難しもの。

 「スポーツで優れた選手を育てる最も良い方法は、ライバル同士を競わせること」。

 こう話すのは、バンクーバーオリンピックで銀メダルを獲得した長島圭一郎選手や、銅メダルを獲得した加藤条治選手などが在籍する「日本電産サンキョー」のスケート部で、メンタルコーチを担当している松下信武氏。長島選手と加藤選手がオリンピックという大舞台で結果を残せたのは、同じチームでお互いをライバルと認め、競い合いながら成長させたことが大きいと松下氏はいいます。

 良き競争相手には、自分にはない優れた点や能力があります。だからライバルとなり得るのですが、まさに相手が優れているが故に、ライバルをねたむことは避けられないのだとか。松下氏はそのような避けがたい「ねたみ」を、「いっそのこと、意識的にライバルをねたみ、それをエネルギーに変えてみてはどうか」と提案します。そのためには、自分と同じくらいか、それ以上に手強い相手が必要です。

 スポーツの世界では、アスリートに自信を付けさせるために弱い相手と戦わせたり、容易に達成できる目標に挑戦させたりするコーチが少なくないそうです。アスリートは、すぐに目標を達成でき、試合も楽勝なので、気持ちは良いでしょう。しかし、そんなアスリートの行く末は悲惨なものが多いと松下氏。ちょっとしたことで挫折し、立ち上がれないひ弱なアスリートになってしまうからです。

 ボクシングの長谷川穂積選手も、デビュー以来、常に強敵と戦い続けることで世界チャンピオンの座を獲得しました。実際、長谷川選手のトレーナーの山下正人さんは「長谷川には常に格上の相手と対戦させてきた」と話しています。よきライバルと対戦することで、長谷川選手はWBC世界バンダム級王座を10度も防衛することができたのです。

 スポーツでもビジネスでも、自分より優れた相手をねたんでしまうことがあります。しかし、それをネガティブに捉えるのではなく、そこで引き出されたエネルギーを使ってライバルを超えることができれば、ここ一番の「勝負どころ」で大きな力を発揮できるようになれるのかも知れません。



『凡人が一流になる「ねたみ力」』
 著者:松下 信武
 出版社:ソフトバンククリエイティブ
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