中国で大規模な反日デモが3日連続で発生した19日、外務省は海外安全ホームページ上で「中国:最近の日中関係の動きに係る注意喚起」と題し、中国旅行を計画中の国民への注意報を呼び掛けている。

 同ホームページでは、10月16日以降の中国国内では、尖閣諸島に関する日本に対する抗議活動が行われ、日系スーパーや日本料理店の店舗などにおいて窓ガラスが割られるなどの被害も生じていると伝えている。

 現在は日本人に対する人的被害は発生していないが、今後、中国国内の場所を問わず同様の抗議行動が発生する可能性は排除できない。旅行や出張などで中国に渡航・滞在される予定の人は、自身の安全確保に十分に注意をするよう促している。

 韓国のメディアも日中の動向を注視し、中国では反日デモが激化し、安全性の問題を理由に、日本の観光客が中国の観光を控える傾向が続いていると報じている。これにより、日本の航空会社や観光業界が大きな打撃を受けていると伝えている。

 全日空は、先月7日に発生した尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件以来、日本と中国を行き来する航空機を予約した人のうち、7500人が予約をキャンセルしことを明らかにしており、日本航空もその数は3600人に達している。またJTBでも、11月度の中国観光ツアーの予約は前年同期に比べ15%、12月度では20%減少しているという。

 また中国当局は、自国の旅行代理店を通じて日本への旅行を自粛するよう要求し、そのため中国人の日本観光も大幅に減少している。韓国メディアは、日本の観光業界は、今年に入って中国の観光客に大きく依存している状況であり、中国国民の反日感情が静まらない場合は、日本の観光産業全般に大きな打撃が避けられないものと指摘している。

 一方、韓国では、中国の銀行連合やクレジットカード電算ネットワークを共有する韓国BCカードは19日、本年9月基準で韓国の中国の銀行連合のカード加盟店が7万689店となり、昨年同月の1万7499店に比べて338%も増加したことを明らかにしている。これは、韓国を訪れる中国人観光客が多くなり、中国人観光客を誘致しようとする企業が銀行連合カード加盟店に続々と参加しているためとみられている。

 このように韓国では中国人旅行客が急増し、10月1〜7日までの中国の国慶節連休期間には、韓国を訪れる中国人観光客は過去最大の5万8000人以上に達した。日中の尖閣諸島をめぐる領土紛争で日中関係が冷えこむなか、今後も中国人観光客はさらに増えると分析した韓国のメディアもあった。(編集担当:李信恵・山口幸治)



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