“本は締めたメディア”“読書は他者との交際”―読書家2人のシークレット対談をレポート

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 編集工学者で書評ブログ「千夜千冊」の執筆者でもある松岡正剛氏と、「404 Blog Not Found」の小飼弾氏による、日本を代表する“読書家”の2人による夢の対談が、10月5日、東京・丸善丸の内本店4階の「松丸本舗」で行われた。

 この対談は、中央公論新社から出版されている『松岡正剛の書棚 松丸本舗の挑戦』の電子書籍版の配信を記念して行われたシークレットイベント。会場には「ビジネスブックマラソン」の土井英司氏をはじめ、『世界一わかりやすい4コマビジネス書ガイド』を出版した山田玲子さんらが集った。

 まずは、電子書籍というテーマから本というメディアについて議論が行われた。
 小飼氏が「そもそもポピュラーブックスというものが無い時代が長かった。普通の人でも本が読めるのは実は最近からのこと。これから先、電子書籍が生まれたことにより、本というのは贅沢なものに戻っていくのでは。本は形があるものだから、不動産という問題が発生する」と問題提起をすると、松岡氏は「もう1つ、グーグル検索時代になり、たくさんの情報がネットにあるようになった。そのとき、自分と本の付き合い方を変えたくなるのではないか」と指摘。電子書籍の普及によって、本というものがその日のシーン、例えば学校や遊びなどのシーンごとにカジュアルに選べる、着脱可能なものとなるのではないかと予測した。

 会場に集まった人たちを唸らせたのが、小飼弾氏の「本は締めたメディアである」という発言であった。これは、本は書き直しが不可能であるが、そこにこそ紙の本の良さがあるという意味である。一方でコンピューター上のものはすぐに書き直しがきくため、いつまでも未完成のメディアであり、そこにこそ電子書籍の良さがあるのだという。

 また、松岡氏が「本は打率3割だろう。3割は良い本で、7割はそうではない本」だと指摘すると、小飼氏は「僕は、打率1割で、残りの9割はクソ本だと思う。松岡さんは本に優しい」と、より辛い評価を下した。しかし、そんな2人も「いかに良い本ではない本と付き合っていくかが重要になる」という意見で合致。そして松岡氏が、「もちろん生身の人間との交際からは一段落ちるが、本を読むことは他者との交際を意味する。人間は究極的には生と死しかないが、その生と死の間に他者が存在する」と読書の重要性を訴えると、会場からは感嘆の息が漏れた。

 電子書籍時代到来の中で、本はどうあるべきかが都度議論されている。その中でのこの2人の対談は、会場に集まった人々やたまたま居合わせたお客たちの心に、「本」の原点を再確認させるものになった。

 『松岡正剛の書棚 松丸本舗の挑戦』の電子書籍版は現在、iPadアプリとして発売中。遊び心満載のこの電子書籍に是非触れてみて欲しい。また、その魅力を伝える特集ページも公開中だ。こちらから
(新刊JP編集部/金井元貴)


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