空港の税関で自分のほうからあえて別室へ行く方法 空港税関で手荷物について正直な考えを言ったらこうなった!

写真拡大




今回は登大遊さんのブログ『登 大遊@筑波大学大学院コンピュータサイエンス専攻の SoftEther VPN 日記』からご寄稿いただきました。

空港の税関で自分のほうからあえて別室へ行く方法 空港税関で手荷物について正直な考えを言ったらこうなった!
普通の旅行者にとって、空港の国際線の出口の税関カウンターにいる税関職員のところを通るときは、自分の荷物が開けられたらイヤだな、と思って通ることが多いかもしれません。たいていの人は、「申告するものはありませんか?」と聞かれて、「ありません」と答えていると思います(実際にあるのかないのかよくわからない人もそうしているでしょう)。

それでは、逆に、旅行者のほうから、積極的に、税関職員に、是非どうぞ自分の荷物を開けてください、と強く依頼したら、どのようになるのでしょうか。本当はそのほうが確実で正直な態度だと思います。旅行者として、法令違反(違法持ち込み)をしてしまう危険がなく、法令順守の観点からは、そのほうが望ましいはずです。また、“申告するべきものがあるのかないのか”は旅行者よりも税関職員のほうが詳しいから、荷物検査してもらったほうが安心です。

このように、普通の人とは逆のことを正直にやってみると、以下のようになりました。もし、空港で、自分は正直だと思う人は、以下のように、素直に、自分では荷物についてよくわからないので、是非とも自分の荷物を検査するよう依頼してみてください。そうすると、次のようになったというレポート(実話)を書きます。

最近、頻繁に海外出張に行っている。ところで、今日(9/30)も、海外出張から帰ってきたのだが、某国際空港の入国確認ゲートを通った後の手荷物受取り・荷物検査場(税関)で、正直に、素直に、自分の荷物に関する事項を述べたところ、税関職員が非常に困惑し、それで自分もとても困ったので、そのときのことを、忘れないうちに書いておこうと思う。

まず、海外旅行へ 2007年以降に行かれた方ならご存知かと思うけれども、税関では、下図のような“携帯品・別送品申告書”という書類を書くことになっている。この書類の提出は関税法および通達で規定されているらしい(と税関のホームページに書いてある)。

空港の税関で自分のほうからあえて別室へ行く方法 空港税関で手荷物について正直な考えを言ったらこうなった!

普通の人は、適当にすべて“いいえ”をチェックして税関カウンターの人に渡していると思う。実は免税範囲を超えているが関税は免れたいという人や、違法な麻薬や偽ブランド品を持っているような人は、合理的に考えて、わざわざ、自ら進んで、“はい”をチェックするわけがない。ここを通る人は、ほとんどみんな、“いいえ”をチェックして通過している。でも、時々、正直にタバコ等の免税範囲を超えるものについて“はい”をチェックして申告し、関税を納付している人もいるようだ。

私も、普段は、これまで、毎回、この“携帯品・別送品申告書”にすべて“いいえ”をつけて提出していた。私は、海外出張へ行ったときは、免税範囲を超える土産や、違法な物品(麻薬など)を持ち込もうとすることはないためである。だから、いつも適当に“いいえ”にチェックして提出していた。

しかし、今回の帰国時は、私はいつもと違う、また、普通の人とも違う行動を取ることにした。“携帯品・別送品申告書”の“はい”、“いいえ”の欄を空欄のままにして、税関職員に提出したのである。 その理由は、以下のような、自分としては正当で、また、正直な考えである。

*****
自分の荷物と言えども、何が入っているのか、正確には覚えていないかもしれない。また、自分では故意に入れたつもりがない変な荷物が、外国の空港などでまぎれ込んでいるかもしれない(時々、荷物に勝手に麻薬を入れる外国人がいるらしい)。

加えて、外国で購入したものは、日本への持ち込みが問題ないと思っていたものであっても、実は、問題がある違法なものである可能性もある。旅行者である自分は、関税法のプロフェッショナルである税関職員ではないわけだから、それを確実に知り安心することはできない。

さらに、海外の空港などで購入した土産 (お菓子、チョコレートなど) に密かに麻薬が入っているかもしれない。そういったときに、適当にこの“携帯品・別送品申告書”において、すべて“いいえ”をチェックして、関税職員に提出し、関税職員がその後、私の荷物を検査して、麻薬などが出てきたら、自分で故意に入れたものではなくても、自分が入れたと疑われてしまうかもしれない。そうすると、「虚偽の申告をした」ということで、関税法違反(罰則あり)に問われてしまうリスクがある。

このリスクはゼロにすることはできない。なぜならば、自分の荷物に何が入っているかは、絶対・確実にわからないからである。
だから、“いいえ”の欄にチェックして、“携帯品・別送品申告書”を提出することはできない。
****

正直な思考をする人は、上記のようなことを一度考えてしまうと、非常に不安になるだろう。上記のことは、常識はずれかもしれないが、間違いではないからである。また、正直な考えだからである。上記の正直な理由により、旅行者は、税関カウンターを通るときに、絶対に自分の荷物に違法なものが入っていないのだということを確信することはできないのではないか。それに、“携帯品・別送品申告書”には以下の図のような怖い脅し文句のような警告文が書いてある。これを見ると、間違った申告をしてしまうかもしれない(それが故意であると疑われるかもしれない)ということについて、ますます不安になるのが、正直な人である。

空港の税関で自分のほうからあえて別室へ行く方法 空港税関で手荷物について正直な考えを言ったらこうなった!

今回、自分は上記のように正直に考えたので、“携帯品・別送品申告書”の“はい”、“いいえ”には何も書かずに、正直に、税関カウンターに向かって、その旨を言った。

すると、“携帯品・別送品申告書”と“パスポート”を受け取った税関職員は、案の定、「はい」か「いいえ」のどちらかをチェックしてほしいと言ってきた。その後の問答の要旨は次のとおり。記憶をもとに書いているので、不正確な部分があるかもしれないが、だいたいの趣旨は合っていると思う。

*****
税関「空欄ですよ! 申告書の“はい”か“いいえ”のどちらかにチェックしてくれませんか」
自分「どちらにチェックしたら良いのか、正直に言うと、自分にはわからないから、チェックすることはできないと思います」

税関「えっ! 自分の荷物なのだから、違法・制限物が入っているか、いなかのかは、自分で知っているのではないですか?」
自分「正確には、知らないのです。なぜならば、自分の荷物に今、絶対に違法・制限物が入っていないかどうかということは、私には、100%確実にはわからないのです。これは、本当に正直な考えです」

税関「なぜ、自分の荷物なのに、わからないのですか?」
自分「その理由は、(上記で述べた理論)だからです」
税関「違法なものを荷物に入れた覚えがあるのですか?」
自分「私には覚えはありません」

税関「それじゃあ、“いいえ”にチェックすれば良いじゃないですか」
自分「自分では、違法なものを入れた覚えがなくても、間違って入れてしまっているかもしれないし、外国で他人に入れられたかもしれないです。それが不安なのに、“いいえ”にチェックをすることは、正直ではありません。だから、私は“いいえ”にチェックをすることはできません」

税関「私はここで18年間勤務していますが、あなたのようなことを言う人ははじめてです」
自分「それがどうしましたか。正直に言っているだけですが」

税関「(パスポートのスタンプを見て)あなたは、これまで、頻繁に、外国、たとえば、アメリカ、シンガポール、マレーシア、中国に行っているようですが、これまで、帰国時にはこういうことを言わなかったのに、なぜ、今日だけこういうことを言ってくるのですか?」
自分「今日は、(先ほどの正直な理論を思いついたので) 正直に、不安になったからです」

税関「なぜ、今日だけ、不安になるのですか?」
自分「それは自分が今日は特に正直だからです」
*****

このあたりで、周りの税関カウンターにいる職員も手が空いている人は自分の周囲に集まってきた。出口のあたりで見張りをしている人を含めて5〜6人くらいが、興味深そうに、私と、この相手の関税職員との問答を聞いていた(ちなみに、その間はだれも出口付近を注視していないように見えた。これで良いのか?)。

*****
税関「とにかく、申告書にチェックをしてもらわないと、ここを通ることはできません」
自分「でも、自分の荷物について、違法なものが入っていないかどうか、確実なことは、先ほどの理論により、絶対にわからないので、この書類にはチェックできません」

税関「それではいったんカウンターから戻って、ベルトコンベアーのあたりで、自分の荷物を自分で検査して、それで書類を書いてまたここに来てくださいよ」
(申告する物がある人のためのカウンターは1つしかなく、後ろに長蛇の列ができているので、係員が問答を嫌がっている)

自分「それはしません。意味がありません。自分では、自分の荷物のうち、どの物品が違法なものなのか、知識が不十分なので、確実にわからないからです。是非、関税職員のほうで、この荷物を全部開けて、どうぞ、検査してください。そうすれば、違法なものがないのかあるのか、確実にわかって、私は安心することができるし、間違った申告をする危険がなくなります」

税関「(ものすごく困った顔になって)すみません、そういうような困ることは、言わないでください! 実は、あなたの言ったようなことを言ってくる方は、これまでここの税関では1人もいなかったので、私たちがどう対応すれば良いかという決まりがありません。それでは困るじゃないですか。だから、とにかく、この申告書にチェックを入れて、さっさと通ってください!」
(要するに、税関は、荷物チェックをするのはとても手間だから、やりたくないというような雰囲気である)

自分「私が言うことは、正当なことだと思っているのだが、このようなことを言った人はこれまで本当に1人もいないのか?」
税関「(すごく困惑して) ここを荷物を開けられたくないというような人が通って、それで止めたりしてトラブルになることはあるが、あなたのように、自分から、自分の荷物を開けてどうぞ検査してほしいというような変わった人ははじめてです。本当にこれまでそういう例はないので、どう対応したら良いのか、わかりません」

自分「さっきも言ったように、この荷物を全部開けて、チェックして、違法なものがないかどうか、見てもらったらよいのではないですか?」
税関「今回、本当にあなたの荷物を全部チェックしたとしたら、今後、こんなにたくさんのお客さんがいるのに、全員、全部開けてチェックしなくちゃいけなくなるじゃないですか! だから、“たぶん申告するものがない”と思うのであれば、さっさと、“いいえ”にチェックしてここを通ってください」

自分「えっ、それじゃあ、自分で “たぶん申告するものがない”と思っていても、自分の勘違いで、実は申告しなければならないものがカバンの中に入っているかもしれないと思うのですが、それがあとでわかった場合でも、私に全く不利益はないのですね?」
税関「ちょっと私にはそれはわかりません」

自分「あなたにわからないのであれば、他にわかる責任者はいないのですか?」
税関「私が責任者です」

自分「それでは、不安なので、“いいえ”にチェックすることはできません。実際のところ、他の人は、自分の荷物に本当は持ち込み制限物が入っていても正直ではなく“いいえ”をチェックしてここを通っているのではないか? それを見落とすような体制で税関では検査しているのですか?」
税関「すみません、私はちょっとそれに答えることはできません」

自分「とにかく、私の荷物を全部調べて、違法なものがないかどうか、検査してください。そうすれば、済むのではないですか?」
税関「それでは時間がかかってしまいますから」
*****

このような問答が結構長時間(15分くらい)続いた。

しかし、私は単に自分が本当に思っていることを正直に話しているだけである。カバンの中に何が入っているのか、検査するまで、自分でもわからないではないか。また、カバンの中に入っているものが、違法物品に該当するか否かというのは自分には専門知識が乏しいので、やはり、わからないではないか。

自分で確実にわかっていないことなのに、わかったふりをして、申告書に“いいえ”と書くのは、正直な行動ではない。それは、自分の思っていることに反した行動だから、それはできない。そう主張して、是非、税関で荷物を開けて検査してほしいと依頼し続けた。

旅行者が、進んで、自分の荷物を検査してほしいと積極的に依頼してくるというのは、本当に、前例がないらしく、税関の職員が6人くらい集まって、すごく困った顔で相談をしている。

聞くところによると、この税関の職員たちには、マニュアルのようなものがあって、旅行者に荷物検査を求めたにもかかわらず拒んだときに対応するべき方法・決まりは、熟知しているらしい。

しかし、それとは全く逆に、旅行者のほうから、ぜひ荷物を開けて調べてほしいという変わったことを言ってきた場合の対応については、要するに、決まりがないのであろう。決まりがなければ、税関職員は役人なので、進んで行動したくないらしい。

税関職員は、トランシーバのようなもので、上司と相談しだした。とにかく、荷物検査は、面倒で、時間がかかるので、やりたくないらしい。特に、自分からわざわざ是非開けて検査してほしいという旅行者が、怪しいものをわざわざ持っているはずがないのだから、開けて検査するのは面倒で、意味がないじゃないかというようなことらしい。

違法物品を見つけた職員はそれが手柄になるから、怪しい人を荷物検査するのは積極的にやるのだが、自分から荷物検査しろと言ってくる人が怪しいはずがないので、それを検査するのは非常に消極的なのだ。なぜなら、荷物を検査するという手間をかけたのに、手柄にはならないわけだから。

それでも、結局、申告書のうち一部の“はい”または“いいえ”の項目には記入しないまま(前記の理由で、正確には自分でもわかる方法がないので、記入することはできない)、最終的には、税関職員何人かに先導されて(雰囲気としては、別室に連行されるというのではなく、もうそんなに言うなら、仕方がないから検査してあげますからついてきてくださいというような感じで)、“別室”というカウンターの横のパーティションの中の検査台で、カバンをすべて開けて検査してもらうことになった。

担当の税関職員はかなりおかしな顔で応対してくるが、私としては、真剣なつもりである。

まず、あらかじめ、ワニやトラなどの革の写真を見せられて、「ワシントン条約に違反するものはありませんか」と聞いてきた。ワシントン条約について私は詳しくないからわからないと言った(事実、詳しくない。正直に話しているだけである)。

また、麻薬、覚せい剤、やせ薬などは持っていないか、と聞いてきた。私は、たぶんないと思うが、自分では、ある物品が麻薬、覚せい剤、やせ薬などに該当するかどうかは、自分では正確にはわかるわけがないから、税関のほうで全部検査してほしいと言った(これも正直な考えをそのまま述べただけである)。

その他、いろいろ写真を見せられて、こういうものは入っていないかと聞かれたので、自分で入れた覚えはない、他人に入れられている可能性はあるから、やっぱり、税関のほうで全部検査してほしいと言った(これもやはり正直な考えをそのまま述べただけである)。

たぶん、そこで、すべて口頭で「絶対入っていない」と言えば、荷物は開けられず、そのまま、さっさと出ていけということになったはずだが、私は、やはり、絶対に入っていないことは保証できないと言った。また、旅行者が、確実のために検査してほしいと言っているのに、なぜ仕事をしないのか、と指摘した。

そうすると、やっと、税関職員が、一応、形式的に、荷物を全部開けて検査を始めてくれた(といっても、一応、開けて検査していますよというような態度をとるだけで、あまり細かいところまでは見ていない。細かいところまで見ると、ものすごい時間がかかるらしい。一応カバンのポケットの中に手を突っ込んでガサガサやる仕草をしてすぐに手を出す感じである。真面目に探しているようには見えない)。それでも、とても大きいスーツケース2個とカバン1個があるので、結構時間がかかった。

最終的には、問題のある物品は私のカバンの中からは出てこなかったので、もうさっさと帰ってくれというような雰囲気で、外まで案内されて、出てきた。最初の問答から、だいたい30〜40分くらい経過していた。数人の税関職員の時間を消費してしまった。

とにかく、感じたこととしては、空港の税関のカウンターは、どうやら、ほとんどすべての旅行者が、結構いい加減に(それが確実なことだという保証がないにもかかわらず)、適当に、申告書の持ち込み禁止・制限物品の欄の“いいえ”をすべてチェックして通過しているうえに、それを全部本当かどうか検査する余裕がないので、その状況を見て見ぬふりをしていること、そして、旅行者のほうから、正直に、自分の荷物を是非開けてくださいと言ってきたら、とても面倒で開けたくないような態度をとって、何としてでもその旅行者を追い出そう(通過させよう)とすること、がわかった。

もし、海外旅行をするときに、自分の荷物には、たぶんおかしな(違法な)物品は入っていないと思うけれども、本当に絶対に100%確実に入っていないという確証がない、不安で正直な人は、帰国するときに、正直に、上記のように、その旨を税関職員に申し出て、自分の荷物を検査するように依頼してみてください。

正直で本当のことを話すわけですから、躊躇(ちゅうちょ)することはありません。しかし、実際には、そうすると、税関職員は、旅行者の協力的な態度に喜んで荷物を検査すると思いきや、実際には、とても嫌な顔をして、できるだけ検査しないで済むように、いろいろ言いわけをしてきます。

運よく(?)ちゃんと検査してもらうことになれば、自分で誤って違法なものを日本に持ち込んでしまうことを防止できるわけですので、安心することができるでしょう。ただし、時間がないときは、正直にはならないほうが良いかもしれません。30〜40分くらい問答で時間がかかるかもしれないことに、注意してください(でも、イヤになったら、途中で申告書に適当に“いいえ”と書けば、たぶん、いつでも、喜んで出してもらえます)。

執筆: この記事は登大遊さんのブログ『登 大遊@筑波大学大学院コンピュータサイエンス専攻の SoftEther VPN 日記』からご寄稿いただきました。

文責: ガジェット通信

■最近の注目記事
グラフェンにノーベル物理学賞
絵で見るコミュニケーション手段の拡大
『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』橘玲
大手メディアには文脈が二つしかない
添加物使ってるのに“無添”とはこれいかに