溝江明香(右)の優勝メダルを、じっと見つめる浅尾美和(左)。今シーズンのツアーは、あと1戦。ビーチの妖精の胸でその優勝メダルを光り輝かせることができるのか?

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 ビーチバレーJBVツアー第7戦、川崎市長杯最終日は10日、川崎マリエンビーチバレーコート(川崎市)にて、男女の3位決定戦、決勝が行われた。

 男子優勝は、ここ川崎をホームコートとする朝日健太郎(フリー)と白鳥勝浩(湘南ベルマーレ)。ツアー初優勝をかけ4度目の挑戦となった井上真弥・長谷川徳海組(フリー)を、気迫に満ちたプレイで一蹴。王者の貫禄をみせ、今季5勝目をあげた。3位には、西村晃一・仲矢靖央組(WINDS)が入った。

 注目を集めた女子決勝は、念願の初優勝に向け、負けなしで決勝に上がってきた浅尾美和・草野歩組(エスワン)と、田中姿子(エコ計画)・溝江明香(産業能率大)組の対戦。浅尾・草野組は、昨日までの好調から一転。決勝の舞台を意識したのかミスを連発し、ストレートで敗れた。田中・溝江組は1回戦から1セットも落とさない完全優勝で4勝目。すでに年間チャンピオンも決めている。

 3位はアマチュアの楠原千秋・三木庸子組(フリー)。ツアーでは今季、表彰台を逃していなかった浦田聖子・西堀健実組(フリー)を2−1で退けた。

 7月に故障から朝日が戦線離脱。復帰戦となったジャパンビーチバレーでは優勝を飾るが、ツアー第4戦では西村・仲矢組に敗れ、2年4ヶ月ぶりの黒星がついた朝日・白鳥組。その後は優勝を重ねるが、ファイナルセットまでもつれ込む試合も増えてきた。王朝崩壊を予感させ、他チームの意気も上がっている。加えて、新たな試みもチームに微妙な影響を与えていた。

 スペシャリストのブロッカー、朝日だけでなく、白鳥もブロックに跳ぶ2ブロック制、ブロッカー白鳥、レシーバー朝日とポジションを入れ替えるシフトなど、ワールドツアー、オリンピックを見据えてのトライだが、そこに他チームがつけいるスキが生まれている。「セット、点数をみても差は縮まっている。決勝は勝ちますよ」と挑戦する井上・長谷川も自信を持って試合に入った。

 「勝負所は自分がブロッカー」(朝日)と予想通り、朝日の1ブロック。しかし序盤から予想外のことが起きる。日頃、闘志を内に秘め、本大会も淡々とプレイを続けてきた白鳥が、サービスエースを決めると、いきなり雄叫びを上げた。その後も、スパイクを決めると吠え、大声でコール、気迫が満ちていく。「本気を出してきたと思った。あの勢いにやられた」(井上)と挑戦者を圧倒していく。井上・長谷川組も、速いワイドな攻撃で朝日のブロックをかいくぐるが、白鳥のレシーブの網に捕まってしまう。第1セットの中盤まで競っていたが、その後つきはなされ、15−21でセットを失う。「気迫におされて焦ってしまった」(井上)第2セットも16−21と、自分たちのプレイをさせてもらえず試合は終わった。

 王者の「本気」を見せた圧勝だが、白鳥は「そう見えますか?僕らはひとつひとつ戦っているだけです。今回は個々のパフォーマンスが良かっただけ」と話す。朝日は「2人の気持ちを切らさずできた。集中していた」と語った。チーム力については「色々試している中で苦戦している。以前の形に戻れている感じはある」と白鳥は話したが、チームの土台はまだできていないとも。

 果たして、以前の9連覇、ほとんどセットも失わないような、圧倒的な王朝復興なのか、また白鳥が言うように、今回は個々の能力で乗り切っただけなのか。次戦で答えが少しでも見えてくるだろう。

□井上真弥(28・フリー)
 完敗です。相手は本気を出してきた。序盤から気迫に押されていた。焦りも出て、したいことをさせて貰えなかった。

□長谷川徳海(26・フリー)
 自分たちの弱い部分が出た。小さくまとまろうとしてしまった。