若者をテーマにした本の多くでは、「いまどきの若者のコミュニケーション力が落ちている」と書かれることが多いそうです。これに対して、「若者のコミュニケーション能力が低下したのではなく、先行世代とコミュニケーションの方法が変わっただけなのでは?」と分析するのは、『そのやり方では、もう部下はついてこない!』の著者である、心理学者の伊東明氏。

 そもそも「上司世代のコミュニケーション力は、部下世代と比べて、そんなに高いものだろうか」という疑問があります。上司世代のなかには、部下に何かを指示するときにも「とにかくこれをやっておけ」としか言えない人が少なくありません。これは相手の立場や理解度に応じて、わかりやすくロジカルに説明できる力が身についていないことを示しているとか。

 上司世代はプライベートでも、たとえば妻に「いつも感謝している」とか「今日の料理は格別においしいね」というようなことが言えず、感情を素直に言葉にして相手に伝えることが苦手な傾向があるそう。

 一方、「いまどきの部下世代」に対しては、「むしろ上司世代よりもコミュニケーション力が高いのではないか」と感じられる部分があります。

 例えば彼らの中には、自分の感情を素直に表現することに抵抗感がなく、「すごいですね」とか「すばらしいですね」といったほめ言葉をごく自然に用いることができる人や、ロジカルシンキングやプレゼンテーションのスキルを身につけている人も多く、理路整然と説得力のある言葉で、自分が言いたいことを相手に伝えることができます。

 とはいえ伊東氏によれば、部下世代にもコミュニケーション能力が足りない部分があるとか。彼らは打たれ弱く、傷つきやすい部分をもっており、意見や感情の衝突が発生する場面を極力避けようとします。何か対立が起こったとき、対立している相手ととことん向き合わないと解決しない問題もあります。ですが、部下世代はそういった場面での解決能力はけっして高くはありません。面と向かって話し合えばいいことをメールで済まそうとしたり、ネットの掲示板にひたすら社内の人間の悪口を書き込んだりする人も増えているそうです。

 つまり、上の世代も下の世代も、それぞれコミュニケーションのスキルに課題を抱えているわけです。「いまどきの若手はコミュニケーション力が低い。だからダメだ」と一方的に突き放すのではなく、お互いに完璧ではないのだから、両者のコミュニケーションのスタイルをよく観察したうえで、どんな接し方をすれば、うまく関係を結ぶことができるかを考えることが大切なのではないでしょうか。




『そのやり方では、もう部下はついてこない!』
 著者:伊藤明
 出版社:朝日新聞出版
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