「オーディオブックには“人間の心”がつまっている」―オーディオブック化『もしドラ』について岩崎夏海さんに聞く(2)

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 9月10日にオーディオブック配信サイト「FeBe」でリリースされたオーディオブック版『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』が好評な著者・岩崎夏海さんへのインタビュー後編。

 後編では人気絶頂のアイドルグループ・AKB48チームAの仲谷明香さんを朗読者として起用した理由、仲谷さんの魅力、そしてオーディオブックにかける想いを聞いた。是非このインタビューを読んで、オーディオブックに、仲谷さんに、そして『もしドラ』により深い魅力を感じてもらいたい。


―今回、朗読を、かつて岩崎さんもプロデュースに関わっていらっしゃったAKB48の仲谷明香さんがご担当されていますが、実際出来上がりを聴いてどのように感じました?

「仲谷さんは想像以上によくやりました。彼女はすごく勘がよく、求められていることや、今表現しなければいけないことを瞬間で汲み取って、表現することできます。表現の精度については壁があると思いますし、これから磨いていくところですが、求められていることを汲み取るセンスは抜群ですから、そういう意味で、今回の彼女の挑戦は非常にエキサイティングでしたね」

―本作はラジオドラマ形式ではなく、たくさんの人物が登場しながら、1人が何人も演じる朗読という形をとっていますが、それは何故ですか?

「元々の朗読のスタイルにこだわったということが最大の理由ですね」

―どうして仲谷さんを朗読に起用したのですか?

「1つは、彼女と同じ仕事をしていて知らない仲ではなかったので、彼女がもともとすごく能力があるということが分かっていたということがあります。そして、彼女が主人公と同じ年代の子で、主人公と同じような状況―まだまだタレントとしても未熟なチャンレンジャーであることが、ストーリーとすごくシンクロしていました。また、作者である僕自身も、年齢は高いですけど(笑)、それこそ無名のチャレンジャーからスタートしたというところも含め、リンクしたんですね」

―では、『もしドラ』というプロジェクトそのものが、“挑戦”なんですね。

「まさにその通りです。挑戦して、リスクを取るということですね」


■オーディオブックには“人間の心”がつまっている

―『もしドラ』オーディオブック版の聴きどころについて教えて頂けますか?

「やはり仲谷さんの朗読だと思います。登場人物によって声を演じ分けているところは、聴いていて面白いですね」

―『もしドラ』オーディオブック版を、どのような方に聴いて欲しいと思っていますか?

「やはり本を読めない、目の不自由な方に聴いて欲しいですね。また、端的に文学の原点に興味ある方、朗読文化に共感を覚えてくださる方に聴いて欲しいです」

―本を耳で聴く、つまりオーディオブックを聴く価値はどのようなところにあると思いますか?

「オーディオブックの利点は、作者の価値観と同時に朗読者の解釈をも受け取れるということにあります。つまり情報量が2倍になるわけですね。朗読者がどのようにこの本を読んだか、今回は仲谷さんがこの『もしドラ』をどう読んだかというのを感じながら、楽しんで頂きたいですね。最初は内容をフォーカスして、2回目は仲谷さんがどういう風に解釈して読んでいるかということを注意して聴くと、違った聴き方ができますよね」

―そう考えますと、オーディオブックってすごく人間的ですよね。作者、朗読者の人間がすごく表れてくるような…。

「まさしくそうですね。特に朗読者の個性やキャラクターが反映されなければ嘘になりますし、朗読の楽しさもないと出てこないと思います。本の内容が、その朗読者の肉体・声を通して伝わりますが、そこには人間の心が入ってきますよね」

―今後、オーディオブックにはどのような期待を寄せていますか?

「人気朗読者みたいな存在が表れてくれるといいですね。昔、名優さんの中に“私だったらレストランのメニューを読んでさえ、お金を取れるものにしてみせるわ”と言った方がいらっしゃいました。読むものではなく、私が読むことに価値が生まれるんだということですね。でも、僕自身もそこまでいかないと嘘だと思うんですね。本も面白いし、そして朗読者の朗読も面白い。そうなると、本を読んだだけでは味わえない新しい価値が生れます。そしてFeBeさんには、そういう朗読者の育成を担って欲しいですね」

―ありがとうございます、肝に銘じます。最後に、オーディオブックユーザー、『もしドラ』ファンの皆様に、メッセージをお願いできればと思います。

「仲谷さんは18歳の女の子ですが、すごく面白い存在です。『もしドラ』を通して仲谷さんが発するパッションやエネルギーを楽しんで聴いていただけると、興味深いものになるのではないかと思います。
でも、少し長いので、集中して聴くと眠くなってしまうかも知れません。なので、寝る前に聞くといいと思います。悪い意味ではなく本当によく眠れると思いますよ。寝るのはよくないんじゃないか、オーディオブックもそうだし映画やドラマでも、寝てしまうっていうことはつまらない証拠だと思われがちですが、必ずしもそうではないんですよ。つまらない映画は眠たくならず、消したくなりますよね。寝るというのは、また違う周波数が出ているからなんです」

―確かに私の知人で管弦楽団に入っている方がいるのですが、「聴きに来たら寝て欲しい」と言われたことがあります。そのときは非常にゆったりとした優しい曲を演奏していたのですが、寝るのは心地好い音楽を提供できているからだ、と。

「その通りだと思います。だから寝ても全然いいと思います。子守唄代わりにして頂ければ、ありがたいかなと思いますね(笑)」


■オーディオブック版『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』は、オーディオブックポータルサイトの「FeBe」にて配信中。1680円。詳細は以下のURLから!
http://www.febe.jp/content/content_63083.html

■岩崎夏海さんプロフィール
1968年7月生まれ。東京都日野市出身。東京芸術大学建築科卒。
大学卒業後、作詞家の秋元康氏に師事。放送作家として『とんねるずのみなさんのおかげです』『ダウンタウンのごっつええ感じ』等、テレビ番組の制作に参加。その後、アイドルグループAKB48のプロデュースなどにも携わる。現在は、作家として株式会社吉田正樹事務所に所属。
2009年12月、初めての作品となる『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』を著す。2010年7月、『甲子園だけが高校野球ではない』を上梓。

(新刊JP編集部/金井元貴)


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