定年を迎えてしまったら、会社での地位は何の役にも立たない。―渡辺淳一インタビュー(2)

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 団塊の世代の老後を描いた『孤舟』(集英社/刊)がおもしろい。
 大手広告代理店を定年退職した本作の主人公が感じる孤独や寂しさを、誰もが共感できる具体的な物語へと落とし込んでいるからだ。
 著者の渡辺淳一さんはこの物語にどんな思いを込めているのだろうか?
 インタビュー第2弾!


■定年を迎えてしまったら、会社での地位は何の役にも立たない。
―先ほどのお話であったように、定年を迎える頃になると夫より妻の方が元気で強い、というようになりがちです。こういった状況になった時、男性はどう対処すればいいのでしょうか。

渡辺「それは社会的なテーマではなく個人のテーマなので、具体的には各個人が模索していくよりありません。かくあらねば、という決め手はありませんが、全く発想を変えることが必要なのではないかと思います。“給料持ってきてお前たちを食わしてやってる。俺は夫で偉い”という発想は全部捨てないといけません。
定年を迎えてしまえば会社での地位は何の役にも立ちません。ゼロから出直していけるかどうかが大事です」

―そういう社会的地位からくるプライドを捨てるのはなかなか大変ですよね。

渡辺「特にサラリーマンの老後の生き方が問題です。サラリーマンというのはこの50年くらいの間に完成した職種なんです。日本は戦前までサラリーマンという職種は明確にはなく、その代わり農業や林業、漁業など、一次産業に携わっている人が多かったんです。たとえば農業は60歳を過ぎてもできる。今のように定年を区切りにきっぱり首を切られて“何もしなくていいから会社に来るな”とはならなかったんですね」

―確かに今は団塊の世代と呼ばれる方々が定年で仕事を辞めています。そんな時だからこそ本作は必要とされているのかもしれませんね。

渡辺「団塊の世代は戦後日本で初めて生まれて、一番競争が厳しく、経済成長とともに歩んできた世代ですが、今はみんな孤独な舟で乗り出しているんですね。“孤舟族”と呼ぶべき人達がたくさんいますが、発言する場所がない。力を持った集団だと思うんですけど、一般的には妻や子供に冷たくされて孤独でいるんですよね」

―体力・気力が衰えてから感じる孤独は、若いころの孤独とは比較にならないほど心細く辛いものでしょうね。

渡辺「そうですね。給料を持ってこなくなるとただの家庭のブラブラ人になってしまう。若い頃は“俺に黙ってついてきてくれ、俺が養うから”と言ってきたのに、定年退職すると養う力がなくなってしまいます。そこから夫婦関係は本当の意味で大変で、試されるんだと思います」

―でも、威一郎(本作の主人公)には同情したくなりますよね。定年までがんばって働いて養ってきたのに、定年になった途端に妻が冷たくなったように感じられてしまう。

渡辺「そうだねえ。若い女にモテたいとか、本人に欲望はまだまだあるけれど。ところで日本の夫婦で問題なのは銀行に振り込まれた給料を奥さんが管理しているところです。だから定年後は奥さんからお小遣いをもらう形になってしまう。これは世界で日本人くらいですよ」


■渡辺淳一さんのサイン入り『孤舟』をプレゼント!
今回登場して下さった渡辺淳一さんの直筆サイン入り『孤舟』を抽選で1名の方にプレゼント致します。件名に「渡辺淳一さんのサイン本」、本文には名前とインタビューの感想を明記の上、ご応募ください。返信をもって当選メールとさせて頂きます。(締切りは2010年10月16日)

【宛先】
news@sinkan.jp

※預かった個人情報は本プレゼントに関わる連絡のみに使用します。 それ以外の目的では利用いたしません。また、本企画が済んだ以降は、個人情報は保持いたしません。

(第1回 男はええかっこしいで孤独な生き物 を読む)
(第3回 何歳になっても柔軟に自分を変えていってほしい を読む)

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