「男はええかっこしいで孤独な生き物」―渡辺淳一インタビュー(1)

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 いわゆる“団塊の世代”と呼ばれる人々の大量退職がクローズアップされるなか、注目すべき本が発売された。
 渡辺淳一『孤舟』である。大手広告代理店を定年退職し、悠々自適な第二の人生を思い描いていた主人公の威一郎だったが、彼を待っていたのは妻や娘との深い亀裂、二人は家を出て行き、威一郎一人が後に残される。老いた後の家族や夫婦のあり方を問う意欲作だ。
 『失楽園』『愛の流刑地』など、男女の愛を描いた作品のイメージが強い渡辺氏は、なぜ今作で“老いた後の人生”をテーマに掲げたのか?


■男はええかっこしいで孤独な生き物
―渡辺さんの新刊『孤舟』には、定年退職後の男性の悲哀がリアルに描かれています。渡辺さんが本作で“老い”をテーマに据えた理由がありましたら教えていただけますか。

渡辺「60代の男性やその妻はこれまで小説の主人公として書かれたことがないんです。だから一度書きたいと思ってはいました。定年は若い人には切実な問題じゃないと思いますが、今60歳以上の人々は総人口の4分の1にもなるのに、この世代が小説で取り上げられてこなかった。その理由は、基本的に作家は自分より年下の人間しか描けません。言いかえると、この年代以上に長生きした作家が少ないからだと思いますね。幸い僕は70歳を越えているので、この世代の人のことを書いてみようと思ったんです」

―本になる前の原稿と完成した本を読み比べると、最終章が改稿されていることに気づきます。これにはどんな意図があったのでしょうか。

渡辺「書きあげた原稿を自分で読み返したり、色々な人に読んでもらって“こういうところがもっと読みたい”という意見を取り入れて直しました。最後は主人公の未来に希望を持たせる形になったと思います」

―本作を執筆するにあたって60代の男性にかなり取材をされたとお聞きしました。そういった取材からどのような印象を得ましたか?

渡辺「男は60歳になろうと70歳になろうと常にええかっこしいで、定年なんて何でもないような顔をしているけど、本当は孤独で寂しい。特に地位があった人ほどそうで、会社の社長とか役員であればあるほど悠々と満足しているように見せる。この本では、僕はそういう人間の本音を書こうと思って書き込みました。この点、女性の方が自分に正直ですね」

―本作は定年を迎えた夫とその妻の夫婦関係を一つの軸として書かれています。最近は夫の定年後に関係が悪化してしまい熟年離婚、というケースもよく聞かれますが、このように夫婦関係が破綻してしまう夫婦とそうでない夫婦にどんな違いがあるのでしょうか。

渡辺「それはケースバイケースで一言でいえません。本作で書いた大谷夫婦もいつか破綻するかもしれませんし、その危険性は常にあります。この年代になると夫より奥さんの方が元気で強くなってきます。この世代の離婚のほとんどは妻からの要求ですね」

―本作でも、男性は年を取るにつれて気力・体力が衰えていく“消耗品”のイメージであるのに対し、女性は年を重ねても生き生きとしていますよね。

渡辺「もちろん。女性の方が生命力も強いし体力もあります。また、出血や痛みにも強い。だから女性は妊娠出産育児ができるわけです。男は若い時の瞬発力が強いだけで、持続的な生命力は遥かに女性の方が強いと思いますね」

■渡辺淳一さんのサイン入り『孤舟』をプレゼント!
 今回登場して下さった渡辺淳一さんの直筆サイン入り『孤舟』を抽選で1名の方にプレゼント致します。件名に「渡辺淳一さんのサイン本」、本文には名前とインタビューの感想を明記の上、ご応募ください。返信をもって当選メールとさせて頂きます。(締切りは2010年10月16日)

【宛先】
news@sinkan.jp

※預かった個人情報は本プレゼントに関わる連絡のみに使用します。 それ以外の目的では利用いたしません。また、本企画が済んだ以降は、個人情報は保持いたしません。

(第2回 定年を迎えてしまったら、会社での地位は何の役にも立たない。 につづく)


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