【斉藤アナスイの憂鬱】江戸っ子の実態

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初対面の人と打ち解けようとするときに、高い確立で出てくるのが

「ご出身はどちらで?」

という質問。僕は東京と千葉を走るJR総武線というあまり華のない電車の、その中でも取り分け華のない「浅草橋」という駅に生まれ育ちました。23区内、それもJRが走っているのに、東京にまずまず詳しくないと、まぁ知らないであろう駅。「?」という顔をされることも少なくありません。だから続けて、

「あの、わりと浅草の近くです」

という説明をします。すると、どうでしょう。皆さんさっきまでのポカンとした顔が、一転「うひょ!」といわんばかりの嬉々とした表情に。そして、

「じゃあ江戸っ子なんですね!」

とお馴染みの一言。…やっぱり来たか。そこに悪意がないのは十分わかります。でも実はこれが、僕にとってはケッコー憂鬱だったりするんです。


僕は、確かに「江戸っ子」です。江戸っ子の定義は、確か東京の下町に3代以上住んでいるとかなんとか。はっきり言って楽勝です。以前僕は、母親とこんな会話をしたことがありました。

僕「うちって、何代前からここら辺に住んでるの?」
母「8代前」
僕「8代前って誰?」
母「斉藤ヘチマ」


僕は小学校の頃、「すごい価値があるのよ!」とお年玉を「ギザ10」(フチにギザギザのついた10円玉)2枚で済まされて以来、基本的に母親を信用していません。だから、この話もまぁ100パー嘘でしょう。でも僕は、少なくとも曾祖父母がこの地に住んでいたことを知っています。要するに、確かに江戸っ子は江戸っ子なんですね。

ではなぜ、江戸っ子の僕が「江戸っ子なんですね!」と言われて憂鬱になるのか。それは、「江戸っ子」という言葉が持つ、イメージにあるんです。

皆さん「江戸っ子」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。お祭り好きで神輿担いで、宵越しの銭は持たなくて、ケンカっぱやくて、熱い風呂が好きで…。まぁそんなところでしょう。僕江戸っ子なはずなんですけどねぇ、なんでしょう。その、こんな感じのイメージがまったく当てはまらないんですよ。

例えば青森から出てきて東京に住んでいる人は、「やっぱデザートはリンゴなの!?」といった質問を2万回ぐらいされてきたことでしょう。僕だって聞いてしまうかもしれません。でも青森は確かにリンゴで有名だけど、青森の人が必ずしもリンゴが好きなわけではない。僕と江戸っ子も、それと似た様な感じなんです。

まず祭り。いや、お祭りは好きなんですよ。けっこう好き。毎年行ってるし。ただ、その皆さんがイメージするように、神輿を担いだりはしないんです。はい、なんかすいません。一応ハッピも持ってるけど、着方もよくわかんないし。でも言われるんですよ。「やっぱ祭りで神輿とか担ぐんでしょ!?」って。ひどいときは「わっしょいわっしょい!?」とかね。わっしょいわっしょいって何だよ。縁日とか行くと「かち割り」とか売ってるじゃないですか。でも僕それスルーしてコンビニで飲み物買っちゃうタイプなんですね。

でもね、「いや、僕はあんまり担がないですね」とか言っちゃうと、なぜか相手のテンションが途端に下がる。こっちからしたら、えええええって感じなんですけどね。「…そう」、とか言っちゃって。何かこっちが悪いみたいな空気になる。だからまぁ「それなりには、はい」とか言わざるをえないじゃないですか。本当は神輿見て「なんか強そうな人一杯いる、超こえぇ…」とか思ってるのに。まぁそれで相手は満足そうな顔になるんですけどね。

別に江戸っ子な自分が嫌なわけじゃないんですよ。ただ江戸っ子が持つイメージと、実際の自分とのギャップが、まぁーキツい。よくギャップがある男はモテるとか言うけど「江戸っ子だけど、お神輿怖い」とか絶対ダメじゃないですか。ちょっと流行った言葉で言えば、「草食系江戸っ子」って感じでしょうか。

で、「宵越しの銭は持たない」って言われてもねぇ。僕お金大好きだし。貯金超楽しいし。ギャンブルとかやらないし。お酒は嫌いじゃないけど、飲むとしたら基本日高屋だし。各所でTポイント貯めちゃうし。本当にこれ1個も当てはまらないんですよね。まぁ「宵越しの銭は持たないんでしょ!?」って聞かれた「そうですね、はい」って答えちゃうんですけど。やっぱりガッカリさせたくないですし…。

ケンカはもう決定的。僕、ケンカなんて大反対ですからね。だって僕がケンカして勝てる相手って、セミ(7日目)ぐらいなもんだし。暴力とか、ダメでしょ。怖いでしょ。でもね、確かにケンカっぱやい人っているんですよ。江戸っ子だからってわけでもないんでしょうけど。この地区、確かにケンカっぱやい人はいるんです。肩がぶつかったら「小僧、どこ見て歩いてんだぁゴラァ!?」とか言って。もう超怖い。ただ、そこは僕も曲がりなりにも江戸っ子ですからね。つい止まらなくなって言い返しちゃう。

「ヘケ!?モヘズンダリ、ガソッピヨ!?」

まぁこれ僕が考えた「ボリショイ語」っていう言語なんですけどね(和訳:ケンジは毎日自転車で学校に行きます)。ちょっと顔バグらせながらこれ言うと、大体「なんだこいつ…」って感じで向こうから去っていくんで。便利です。いや、だから俺ケンカとか反対なんだって。怖いんだって。え?じゃあ「やっぱケンカっぱやいの?」って聞かれたら?そりゃ「それなりには、はい」って言うよ!言うけども!え?熱い風呂!?いや俺あんまり風呂入んねーから!だから聞かれたら言うけども!

すいません、ちょっと日頃の鬱憤が爆発してしまいました。

鳥取出身の人なら「やっぱ休みの日は砂丘行くんでしょ!?」とかね。

大阪出身の人なら「やっぱ銃で撃つフリしたら死んだフリするんでしょ!?」とかね。

もちろんそういう人もいるんでしょう。いるんでしょうけど、そうじゃない人もまぁいるわけで。ここで言うそうじゃない人は、少なからずイメージとのギャップに苦い思いをしたことがあるんじゃないでしょうか。

だから江戸っ子でも、全員が全員祭りで神輿を担ぐわけじゃない。全員が全員ケンカっぱやいわけじゃないし、宵越しの銭を持つ江戸っ子ももちろんいる。その辺をわかって欲しいなぁと。ね、こんなことグダグダいう江戸っ子もいるんですよ。全員が全員スカッとしているわけじゃあないんです。

まぁでもね。僕は「江戸っ子」です。面倒くさくなりそうだと感じていても、「江戸っ子」ということを隠そうとは思わない。それは生まれ育った場所への愛着もあるし、感謝もあるから。変に頑固な所は、やっぱり江戸っ子だからなのかもしれませんね!(本当は面倒くさくて「出身はインドです」って言ったことがあります。そのとき相手から「やっぱり!?」って返しをされたのがトラウマになっていて、出身地を隠さないようになっただけです。そんな江戸っ子もいるんです)


(テキスト&イラスト 斉藤アナスイ)































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