「このマンガはこんなにおもしろい」をコンセプトにしたマンガ大賞はまちがいなく、マンガそのものへの熱い思いではないだろうか。遡ると、それは雑誌から生まれた。定期的にまんが雑誌を購入し決められた発売日を「もう今週号読んだ」、「次回が楽しみだ」などと会話した記憶はないだろうか。その「おもしろさ」と「次回」を楽しみにすることがマンガ雑誌の醍醐味ではないか。

 それが、今では他の分野でも影響力を与える。それは映画だ。産業の主力となりつつあるほどだ。2009年、邦画興行収入ランキング上位20の中に、マンガを原作とした映画(実写化含む)が半数以上ランキング入りしている。わが国の映画界は、人気マンガを原作とした邦画が主力となりつつある。人気を博せば、映画化を約束されていると言っても過言ではないのだ。

 代表的なのが、シリーズ化である。ポケットモンスター、ドラえもん、名探偵コナンなどは、長いあいだ映画産業で生き延びてきた。ただ、生き延びてきたのではない。マンガで承知の通り、顧客を把握し、ほぼ約束された興行収入を獲得することができるからだ。紙媒体が薄れていくなかで、活路はここにある。

 しかし、これが新しいビジネスモデルとして期待されれば、マンガ雑誌はその醍醐味を失う。つまり、発売日までのあいだは、連載されているマンガが人気を得ることができるかどうかをうかがう、試行期間に変わってしまうのではないか。それは、連載の存続を左右する運命のデッドラインとなるだろう。

 そして、次第に読者は「人気=おもしい」と考えるようになる。おもしろいとマンガ大賞に評価されても、人気には勝らない。価値はビジネスで有効かどうかだ。

 嗜好品としてだけではなく、ビジネスとして社会に流通する表現ジャンルの一つして機能を持つ。人気を得なければならないマンガは、雑誌というふるいにかけられてしまうだろう。いつか、私たちは、本当のおもしろさを忘れてしまう日がくるかもしれない。


▼外部リンク

一般社団法人日本映画製作者連盟 最新映連発表資料
マンガ大賞2010


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