何とも言えぬ奇妙な気候である。熱いと言い切れず、かといって涼しくもない。本日は電鉄も空気を読んだのか、前のように馬鹿みたいに冷房を効かせていないので過ごしやすい。それだけは救いといえるかもしれない。

 水木イズム第九十四回。「提灯小僧」とモチーフが関連する都市伝説についての講釈をさせていただいた。今回もまた小僧に関する妖怪についての講釈をさせていただく。そんな今回紹介させていただくブロンズ像はこちら。 

 「浪小僧」である。静岡の妖怪であり、遠州七不思議のひとつに数えられる妖怪だ。水木しげる先生は浪小僧は河童の一種であるとしている。この浪小僧は次のような民話にて伝えられている。

 昔、田んぼの仕事を終えた少年が小さな親指ほどの子どもに話しかけられた。子どもは大雨の時に陸に上がってしまったが日照りのせいで家に戻れない。助けてくれないかと懇願してきた。少年は可哀想に思い、その小さな子どもを海に帰してやった。この小さな子どもこそ浪小僧である。

 その後、村には日照りが続き、凶作に苦しんでいた。そこに浪小僧が現れ、父が雨乞いの名人なので頼んでくるという。更にこれから先、雨が降るときは東南で、上がるときは西南で、波音を立てて知らせてくれるともいった。

 かくして、村には大雨が降った。これ以来、この辺りの人は波音で天気予報が出来るようになったとされている。

 これが浪小僧の民話である。典型的な恩返し。天候を操る、海から生まれた。このモチーフから浪小僧は神に近い水神の系列にある存在だということが解る。妖怪にはこのような神としての力を持つものも少なくはないのだ。

 また、遠州七不思議であるが「浪小僧」の他に、「夜泣き石」「桜ヶ池の大蛇」「池の平の幻の池」「子生まれ石」「三度栗」「京丸牡丹」「片葉の葦」「天狗の火」「能満寺のソテツ」「無間の鐘」「柳井戸」と実に12もそれであるとされている。元は七不思議であったのが増えていったのだろうか。

 七不思議といえば、諏訪大社七不思議や本所七不思議なども有名である。だが現在、もっとも身近に感じられる七不思議はやはり「学校の七不思議」ではないだろうか。学校によってその話は変わるものであり、七つ目を知ると不幸になるともされることも多い。

 「トイレの花子さん」「音楽室のベートーベン」「夜中の体育館バスケ」「トイレから出る手」「赤マント」「モナリザの肖像画」「美術室の彫刻」「理科室の人体模型」などなど、思いつくだけでも七つを超えてしまう。他にも様々にあり、また確実に増えているのだろう。

 柳田國男先生は妖怪の定義として、決まった場所に決まった時間に決まったことをするものであるとした。学校の怪談に現れる怪談はまさにその妖怪としての定義を踏襲している存在であるというのが面白い。

 妖怪と言えば古い伝承の中にしかないと考えられがちであるが、そんなことはないのだ。学校の怪談も立派な妖怪である。そして、ここまで古今東西に顕在している妖怪であるからこそ、その解明には人生を費やす必要があるのだ。

 ひとひとりの人生では追いつくはずもないだろうが、それでもやってみたいと感じさせる。そんな魅力が妖怪にはある。そう感じる今日この頃である。


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水木イズム バックナンバー
第八十九回「豆狸」
第九十回「大元神」
第九十一回「お歯黒べったり」
第九十二回「土ころび」
第九十三回「提灯小僧」

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「やおい」の語源から漫画家坂田靖子を考える。