金を精製する細菌

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今回は神無久さんのブログ『サイエンスあれこれ』からご寄稿いただきました。

金を精製する細菌
皆さんはバイオフィルムという言葉をご存知でしたか? これは、細菌が細胞外に分泌した多糖類からなるシート状の構造体で菌膜とも呼ばれています。バイオフィルムで覆われた内部は、外部の環境変化や化学物質から守られるため、生息密度の高いコロニーが形成され、それが成長することでキノコ型の巨大で立体的なコロニーが形成されることもあると言います。身近な例を挙げれば、歯垢(しこう)や台所のヌメリなどがバイオフィルムの一種です。

オーストラリアのクイーンズランド金鉱床で発見されたバイオフィルムは、何と黄金でできていたそうです。これは、バイオフィルムが金鉱石を溶かすことによってできる金イオンが、バイオフィルム内に生息する細菌にとって有害なため、細菌が再度その金イオンを金のナノ粒子へと変換することで無毒化しようとした結果です。金のナノ粒子は長い年月をかけて、バイオフィルム内部に蓄積し、立派な金塊になったというわけです。

この細菌によって精製された金塊は、元の金鉱石と比べ、銀や水銀などを含まないため純度が高く、高値がつくらしいです。この細菌による金の精製過程は、『Geology』の9月号に報告* されています。この細菌の金イオン−金粒子変換能力をバイオテクノロジーで最大限に高めることができれば、海水中に溶けている微量の金イオンを安価に濃縮、精製することも夢ではないかもしれませんね。

*:「Nanoparticle factories: Biofilms hold the key to gold dispersion and nugget formation」 『GEOLOGY』
http://geology.gsapubs.org/content/38/9/843.abstract

執筆: この記事は神無久さんのブログ『サイエンスあれこれ』からご寄稿いただきました。

文責: ガジェット通信

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