偏頭痛に悩まされている。今までこんなものはなかったのだが、ここ三日ほどキリリキリリと後頭部の奥が自己主張をしてくる。マッサージを施しても無意味。薬に頼るほどではない。なんなのだろうと考えていた。
 
 しかし、昨晩、口内炎と思っていた箇所が歯肉炎のようになっていることに気付く。これが原因なのだろうか。明朝、歯医者に向かい原因を究明することにしよう。偏頭痛は仕事をする鋭意を削ぎ取ってしまうので危険だ。

 水木イズム第九十三回。前回は「土ころび」に関する水木しげる先生説と柳田國男説、そしてツチノコに関する講釈をさせていただいた。今回はまたも道の怪についての講釈をさせていただこう。そんな今回紹介するブロンズ像はこちら。

 これが「提灯小僧」である。仙台に伝わる妖怪であり、夜中に歩いているとこの提灯を持った小僧が後から現れ追い抜いていく。そして立ち止まり、じっと此方を見てくるのだ。まるで水木しげる先生が語る土ころびのようである。

 しかし、土ころびとちがって道に迷ったりはしない。無視をして前を通り過ぎると、またも追い越して前に立ち、じっと此方を見てくるだけなのだという。そして、最後には消えてしまう。顔は鬼灯のように朱い。その名の通り、少年の姿をしている。

 この妖怪が現れるのは理不尽な殺人が行われた場所なのだとされている。この世に未練ある魂が、もし、この提灯小僧なのだとすれば、探しているのかも知れない。己を殺した犯人を、道行く人から見つけ出そうとしているのかも知れない。

 都市伝説のひとつに、「峠を走る際に外を見てはいけない」という話型のものがある。それは、このようなお話である。


 遠出の帰り道。
 友人の車に乗って、男は家路に急いでいた。
 そして、ある峠に差し掛かった際、友人が慎重にこんなことを言った。
「後悔したくなかったら、この峠の間は何があっても外を見るなよ」
 友人の言葉が真剣だったために、納得は出来なかったが従うことにした。
 何の変哲もない峠道である。
 友人はやや急ぎ目で峠を越えようとしていた。
 安全運転とは言い難いスピードが出ている。
 その時、後方からおぞましいエンジン音がけたたましく唸った。
 男は暴走族か何かかと思い、思わず振り返って確認しようとするが、友人の言葉を想い出し辞めておいた。
 しかし、エンジン音はどんどんすぐそこにまで近づいてきている。
 音的には真横だ。
 しかし、ここは峠。
 カーブの連続である。
 併走するなんてよほど正気を失っていなければ出来るものではない。
 音からしてすぐ真横を併走している。
 そんな気がして、思わず窓の外を見た。
 そこには事故車にしか見えない車が走っていた。
 運転手と目が合う。
 それは、生者ではなかった。
 目があった瞬間、車はこちらに急接近してくる。
 そして、ハンドル操作を放棄し、助手席の窓から身を投げ出し、こちらの車の窓にべったりと密着してきた。
 霊はこちらをじいっと見つめると、
「お前じゃない。お前じゃない。お前じゃない」
 そう叫びながら運転席へと戻り、また猛スピードで走り抜けていった。
「だから、見るなって言っただろ」
 気の抜けた男に友人は呆れたように言った。
 あの霊はあの峠で暴走族に絡まれて殺されたのだという。
 その暴走族のメンバーたちを探して夜な夜な通り抜けようとする人びとの顔を確認しているのだとか。

 正に提灯小僧と同じモチーフである。このように妖怪の基本話型は現在も都市伝説に色濃く残っていることがあるのだ。これをもって、妖怪は現在も生きているということが出来る。妖怪は古今東西何処にでも居るのだ。妖怪が居なくなるなんてことは、人類が居なくならない限りは不可能である。

 それが妖怪というものなのだ。


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水木イズム バックナンバー
第八十八回「小豆はかり」
第八十九回「豆狸」
第九十回「大元神」
第九十一回「お歯黒べったり」
第九十二回「土ころび」

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