夏の熱気が戻ってくるはずなのだが、外はすっかり秋の空気である。なのに電車は相変わらず冷房を利かせてくれており、ちょっとは臨機応変な温度調節をしていただきたいものである。弱冷車両で寒いのだから、これ以上はどうしようもない。

 水木イズム第九十二回。前回は「お歯黒べったり」とお歯黒の文化に関する講釈をさせていただいた。今回は、未確認生物(UMA)とも繋がりがあるとされる妖怪の講釈をさせていただく。そんな今回紹介するブロンズ像はこちら。 

 「土ころび」である。「すべたころび」とも呼ぶとされる。峠をひとりで歩いていると後から何かが追いかけてくる気配がする。怖くなって走り出すと、それは物凄い勢いで転がり前に回り込んでくる。不気味に感じて道を逸れると、確実に迷子になってしまうのだという。

 マリモのような体にひとつ目が付いている。人を守る神ともされる。と、ここまでが水木しげる流の土ころびである。中部地方の峠にも出たとされるが、その民話の確認は未だされていないそうだ。水木しげる先生が様々な伝承を複合させてエッセンスを加味した妖怪なのではないかと見る説もあるとのことだ。

 或いは、水木しげる先生レベルになってくると、民話には残っていない妖怪を視ることが出来るのかもしれない。妖怪を描くときは、その妖怪を描けと、大きな存在から伝令がくるのだと語っておられることがあった。土ころびも伝承には残っていないが、「俺を描け」と水木しげる先生に電波を発射したのかもしれない。

 柳田國男の妖怪談義では小豆洗いの招待がこの土ころびであるとされ、一面に毛の生えた藁打ち槌のような姿をされているとされ、野槌の伝承が習合されているのではと考えていたようだ。

 野槌にピンと来た方は相当な未確認生物フリークである。そうだ、野槌とはツチノコではとみられる蛇の妖怪である。ツチノコを狙うUMAハンターたちの中には野槌伝承のある土地に狙いを定めて捜索している方も居られるという。この土ころびもまた、ツチノコの一種かもしれないと言えるだろう。

 坂をコロコロと転がってくるというのは、ツチノコの移動手段のひとつである。他にも異常にピョンピョンと跳ね回るというのもある。どちらも妖怪的、神霊的行動手段であり、ツチノコに妖怪の伝承を結びつけたくなるのは本能的な何かが働いていると言わざるを得ない。

 UMAといえば、ネッシーが想起され、うさんくさいものの象徴とされがちである。しかし、パンダもUMAであったし、パンダイルカもまたUMAであった。UMAの中には実際に発見されたものもいるのである。

 ネッシーに関しても、イタズラであったと発表する人間が存在しているものの、ネッシー自体の存在の否定のひとつであって、それだけでネッシーが居ないと決定付けることは難しいと言える。超能力でスプーンを曲げるのも、手品でスプーンを曲げるのも見た目は同じだからである。手品で出来るからといって、超能力で出来ないという理由には成らない。

 1+1=2であるが、1×2=2であり、3-1=2なのである。答えの2に辿り着く方法はいくらでもあるのだ。ひとつの方法だけとは限らない。そうした前提条件や自らの出した解への懐疑を常に怠らないようにしたいものだ。

 そうすることで、真理はすぐそこにやってくる。真理を見る目を養うことが、妖怪と対話する感覚を身につけることである。物事を多角的に観察する力は、妖怪学によっても身につけることが出来る。

 やはり、妖怪学は小学校の必須科目にすべきだと言いたい。それだけの価値が、妖怪学にはあるのだ。


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水木イズム バックナンバー
第八十七回「倉ぼっこ」
第八十八回「小豆はかり」
第八十九回「豆狸」
第九十回「大元神」
第九十一回「お歯黒べったり」

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