「理系が文系より高給」京大さん それは無茶

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今回は団藤保晴さんのブログ『Blog vs. Media 時評』からご寄稿いただきました。

「理系が文系より高給」京大さん それは無茶
『朝日新聞』の「『理系は文系より年収が100万円高い』 京大など調査」*1 を見て、困ったものだと思いました。統計調査の基本、母集団の整備ができていないで結論を急ぐ典型的な悪例です。インターネット調査で1600人調べたと言い、京大が入ってちゃんとした研究に見えるのだから始末が悪いですね。理系と文系の収入を比較したければ、人事院が毎年している職種別民間給与実態調査が利用できます。以下に平成21年職種別民間給与実態調査「表6 職種別、年齢階層別平均給与月額」*2 からの抜粋を掲げます。
*1:『asahi.com』(朝日新聞社)『「理系は文系より年収が100万円高い」 京大など調査』
http://www.asahi.com/national/update/0824/OSK201008240090.html

*2:人事院『民間給与の実態(平成21年職種別民間給与実態調査の結果)』
http://www.jinji.go.jp/kyuuyo/minn/minnhp/min21_index.htm

 平均給与月額(企業規模50人以上、かつ、事業所規模50人以上)
         40−44歳     48−52歳    56歳以上  
 大学教授    650,857円    702,766円   777,336円
 事務部長    660,954円    689,061円   668,078円
 支店長     680,126円    816,230円   726,787円
 研究部長    589,116円    703,444円   711,956円
 技術部長    589,236円    663,353円   646,283円
 工場長     505,738円    660,290円   733,238円
 医科長    1,270,432円   1,304,497円  1,266,670円
 医師     1,096,285円   1,282,693円  1,209,025円
 事務課長    582,429円    596,976円
 事務係長    451,844円
 技術課長    536,488円    580,412円
 技術係長    458,603円

いかがでしょうか。医療関係を除けば、依然として文系が理系よりも高給である状況に変化はありません。事務部長や支店長の方が技術系より優遇されています。40〜44歳の課長でも事務と技術で4万6000円の差が出ていて、これは結構大きいと思います。記事にある「20〜60代の1632人(平均年齢43歳)を分析したところ、文系出身988人の平均年収は583万円だったのに対し、理系出身644人は681万円だった」はこの調査と全く相容れません。きちんとした公的な調査があるのにインターネット調査に頼るのは無茶、無謀です。

この表は『インターネットで読み解く!』第143回『巨額な発明対価判決が映すもの』*3 で使った平成8年職種別民間給与実態調査と形を合わせていますから、部長級以上では過去13年をはさんだ比較が出来ます。比べてみると56歳以上の事務部長(79万3534円)や支店長(80万7680円)が、現在では大幅に給与カットされていると知れます。不況による幹部社員の給与カットかも知れませんが、理系側はあまり目立ちません。多少は理系・文系の給与格差が縮小しているようです。

*3:第143回『巨額な発明対価判決が映すもの』2004/03/11 『団藤保晴の“インターネットで読み解く!”』
http://dandoweb.com/backno/20040311.htm

執筆: この記事は団藤保晴さんのブログ『Blog vs. Media 時評』からご寄稿いただきました。

文責: ガジェット通信

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