伝説のFKゴール、軌道を数学的に解明(動画)

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Alasdair Wilkins, io9

1997年、サッカーブラジル代表(当時)のロベルト・カルロスが決めたフリーキックは、ボールが一旦右に行った後、左方向に鋭くカーブして、物理学を否定するかのような奇跡的ゴールとなった。

この驚くべきゴールが決まったのは、1998年のワールドカップを控えた国際親善試合[トゥルノワ・ド・フランス]の、フランス対ブラジル戦でのことだった。おそらくは自国の代表が、少なくとも物理学の法則にはあまり味方してもらえなかったことを証明しようとしたのだろう、フランスの研究者らは一丸となってこのボールの軌道の解明に取り組んできた。

そしてその結果、あの尋常でない軌道を説明する数式が得られた。

球体がスピンしながら飛ぶとき、その軌道はらせん形を描く。普通は、重力があるのと、ボールの移動距離が比較的短いことで、このらせん形の軌道は目立たない。ところがロベルト・カルロスは35メートル先にいて、ボールを蹴る力も十分だったので、本来のらせん様の軌道があらわになった。上の図に示されているように、もし重力(とゴールネット)の干渉がなければ、ボールはらせん形を描き続けたと考えられる。

このことから言えるのは、十分な距離を取って、十分な力でボールを蹴れば、誰でもこのらせん形の軌道を実現できるということだ。またこのことは、普通なら一生に1度もののこの手の奇跡的ゴールを、ロベルト・カルロスが何度ももぎ取っていることの説明になるかもしれない。

[ロベルト・カルロスは「悪魔の左足」と言われ、蹴るボールは時速165キロ。1995年、アンブロカップ95で対戦した日本代表GK小島伸幸は、正面に飛んできたボールを両拳でガードして、左手小指を骨折している]

New Journal of Physicsの記事と、BBCニュースの記事を参考にした。

WIRED NEWS 原文(English)

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