ネット上に「ほめられサロン」(http://homeraresalon.com/)というものがあります。アクセスしてニックネームや性別、年齢層などを入力すると、画面に次々とほめ言葉が現れます。

 もちろん、コンピュータープログラムが勝手に送り出してくるほめ言葉なので、大した根拠があるわけではありません。しかし、人は他愛ないほめ言葉でも悪い気にはならないもの。ましてや、自分が知っている人が直接ほめてくれたら、心が弾んだりするのではないでしょうか。

 しかし、なんでもかんでもほめればいいというわけではありません。人間には、相手の言葉に真意がこもっているかどうかを直接的に知る感覚が備わっていると『老いを愉しむ言葉』の著者で、精神科医の保坂隆氏は言います。

 年を重ねた大人は、人の言葉の真意を感じ取る点でも百戦錬磨となります。お世辞半分、嘘半分、つまり、実態はゼロのほめ言葉など口にしても、かえってその場がしらけることになりかねません。

 銀座のホステスは「ほめることのプロ」。その彼女たちがきっちり仕込まれるのは「ほめるときには嘘をつかないこと」と保坂氏は言います。どう見てもイケメンではない人に向かって「美男ですね」といっても、相手はうれしくもなんともありません。商売のための美辞麗句だと、かえって寒々しい印象をあたえるリスクの方が大きいのです。

 しかし、例えば「○○さんの耳って、いい形ですね。こういう耳を福耳というのでしょうね」と言われれば、けっこう嬉しい気分になるのではないでしょうか。

 年齢を重ねると、若い頃と違って、出会う人の数もだんだん限られてきます。だから、せっかく出会った人との縁は大事に育てたいという気持ちになります。そんな場合は、表面的に響きのいいほめ言葉やお世辞を連ねるよりも、一つひとつの言葉に、小さくてもいいから真実味をこめるようにしたほうがいいのだそうです。

 「おしゃれだなぁ。若いだけのヤツには着こなせない色だよ」
 「つややかで、若々しいお肌ですよね。何か特別なお手入れをしていらっしゃるのですか?」
 「素敵なバッグね、私、最近は軽いのがいちばん、という選び方をしてしまうので、なかなかこんな素敵なのを見つけられなくて......」とさりげなく持ち物をほめるのもありです。
 
 「どんなに仲のよい、打ち解けた関係であっても、阿諛(あゆ)とか賞讃とかいうものは、車輪の進行に油が必要なように、ぜひなくてはならないものである」

 ロシアの小説家・トルストイもこう語っているように、会話には、相手に対するやさしさを込めたいものです。




『老いを愉しむ言葉』
 著者:保坂隆
 出版社:朝日新聞出版
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