ゲゲゲの女房では水木しげる先生がスランプから抜け、妖怪事典の制作に取りかかるところに差し当たった。妖怪事典、妖怪大全、妖怪大鑑。妖怪学を嗜むものであれば必読の教典のような存在である。あそこに詰められている妖怪は、どれもこれも、生きている。

 水木イズム第八十九回。前回は「小豆はかり」と話型構造が似通っている都市伝説に関する講釈をさせていただいた。今回は、霊獣に関する講釈をさせていただこう。そんな今回紹介するブロンズ像はこちら。 

 「豆狸」である。狐七化け狸八化けと呼ばれることもあるように、実は狸は狐よりも化かし上手であるとされる。狸と狐の化かし合戦をモチーフにした民話は数あれど、やはり狸が勝利を収めることが多い傾向にあるようだ。

 狸。この狸は可愛らしいが、その体に背負っているものは実は金玉である。♪たんたんたぬきの金玉は、風に揺られてぶーらぶら♪という童謡を一度は聴いたことがあるのではないだろうか。狸の金玉はよく伸びる。そしてでかい。それが特徴であるとされる。

 平成狸合戦ぽんぽこなどでも金玉の重要性について講釈されていた。玉というものには魔力が宿るという信仰がある。また、金玉は子どもを生み出す種を作り出す機関であるからして、魂と繋がる場所であるとされたのかもしれない。

こっくりさんというものも、狐狗狸という言葉が当てられることがある。これは動物霊の三大代表選手ということだ。また、狸は四国にてその勢力が著しいとされている。いなり寿司が、狸の勢力下ではたぬき寿司と呼ばれることもあるほどだ。

 今回取り上げられている豆狸であるが、その金玉に息を吹きかけることで幻を見せたり、金玉をかぶって別のものに化けてしまったりするのだという。ある時などは、小屋にて寛いでいた人間がキセルから火種をぽろりと落としてしまった。すると、火種の落ちたところがぶわっと膨らんだかとおもうと小屋自体が消え失せてしまい、金玉を抱えた豆狸が一目散に走っていくところを見たという民話も残っていたりする。

 狐は人にたちの悪いイタズラをするが、狸のイタズラはなんとなくほのぼのとしている。狐よりもよく化けるらしいが、その気性自体は温厚なものだと見られていたのであろう。

 そんな豆狸であるが、自分に対して悪さをした人間には"憑く"とされている。豆狸に憑かれると茫然自失となって行方不明になってしまうそうだ。憑いてる間は瘤が出来るのでよく解る。怒りが解けるまで、その憑きの苦しみが途絶えることはない。

 動物を下級に見ている人びとが多い。しかし、動物とはその気になれば我々人類などは足元も及ばぬ強い存在であるということを自覚せねばならない。勘違いして不遜な態度を取ること。それは自分の人格すら下げてしまうことになるので注意が必要だ。

 そんなことも諭してくれるのであるからして、妖怪は我々の先生であるというべきかもしれない。我々は妖怪たちから様々なものを学び取るなのである。今の日本に必要とされるのは、妖怪を見る心そのものなのだろう。


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水木イズム バックナンバー
第八十四回「畳叩き」
第八十五回「ひょうとく」
第八十六回「針女」
第八十七回「倉ぼっこ」
第八十八回「小豆はかり」

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