――今回のジャケットでイラストを描かれていますが、この小さいトトロ的な生き物は一体…?

阿部:(笑)。このキャラクターは、もう私がデビュー当時からずっと使ってるキャラクターで、ちゃんと名前もあって。ピンバッジとかにもなったり、割と登場回数が多い。CDの中を開けると、またチョロチョロいるんですけど。

――何回描いてもブレないですか?

阿部:いや!それが意外と、こういうキャラクターって真似して描こうとすると全然似ないみたいな(笑)。でも、ユルい感じで。

――ウクライナの美少女サンド・アーティスト“クセニア・シモノヴァ”による「空に舞う」のPVと対照的なテイストだなと…。

阿部:随分な落差ですけどねー(笑)。

――基本的には聴く人それぞれのイメージを抱いて構わないという考えだとは思いますが、願わくば自分の曲を聴いてくれた人に、こういう影響を与えられたらいいなとか、こういう気持ちになってくれたらいいなと思うことはありますか?

阿部:風が吹くみたいに、曲の一部の歌詞がフってよぎったり、そのことによって「あっ!」と思ったり。そういう些細な切っ掛けで物事がちょっと角度を変えたりすることって、私の活動に限らず、音楽があったことによって、ふと思い出すメロディとか言葉でその場の空気がすごく変わったり、自分の経験としてあるので。そういう音楽のあり方は理想だなと思うんですよね。だから「この曲がどういう曲で」みたいな大掛かりなことじゃなくていいんだけど。ちょっとした一言を選ぶにも、何か予感とか可能性があるといいな、という願いを込めて言葉を選んでるつもりなんですよね。

――2008年4月にファーストアルバム「ブルーズ」を出されて2年半ほど経とうとしてますが、セカンドアルバムや次の作品に向けて作りたいなと考えていることはありますか?

阿部:私個人として、もっとチャレンジしたいことと言えば、「ブルーズ」でも割と音数は多かったかなとは思うんですけど「もっと絞ってみたいな」というのがボンヤリとあったり。どこまでやれるか分からないけど、自分でも演奏が出来れば、そういうのもチャレンジしてみたい。あとは、隙間のある音楽というか、埋めていけばやっぱりドンドン厚みも増すし、迫力は出るけど、削ってもみたいし、隙間を空けて風が行き来できるような、曲そのものが呼吸するようなものを。今までは結構重ねて、自分も乗っかるぐらいの厚みがあったりするのが多かったんですけど、程良く演奏する人の呼吸感とか、歌も同じぐらいの幅で行き来ができるような楽曲をすごく欲してるかもしれない。

――曲数は貯まってますか?

阿部:意外と派手な曲が待機してたり(笑)。私が一人で勝手に書く曲は割とユルい曲が多いので、その出番が来るといいかな?とか。近い内に出せればいいですね。

――音楽以外でやってみたいことはありますか?

阿部:海外に行ってみたい。1回しか行ったことないんです。

――歌詞を書く時に、どうしても自分の中にあるものをアウトプットしていくから、それが本や映画かもしれないですけど、海外旅行とかでインプットしてくる人もいますけど、そういう気分ではないですか?

阿部:扱う言語とか、英語をしゃべるにしても、やっぱり言葉の組み立て方が全然違うから、違う人間になったみたいで面白いし。あとは写真とかを撮ったりして、色んな物を色んな角度で見る機会を増やしたい、というのはありますね。

――願わくば、また間が空かずに次のお話が伺えればいいなと思ってますので。

阿部:(笑)。そうですね。ちょっと頑張ります。ありがとうございました。

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