――今年の夏は「FUJI ROCK FESTIVAL ‘10」に初出演されましたね。

阿部:フェスのステージに立ったのは初めてでしたね。皆さん楽しむことを目的としているから、その場全体がすごくハッピーな感じで。海外の方も沢山いらっしゃってたので、これは規模のデカイお祭りだと思って(笑)。空間として大きな感じで受け止めてくれてたので、こちらも安心して飛び込んでいける感じで。山の力がいい感じで気持ち良かったですね。

――野外で歌う機会は今までありましたか?

阿部:野外はあまり無いですね。路上ライブはやったことありますけど、それとは全然違うし。フェスに参加するのって、色んな会場があって、どこにいるか分からない人達が観に集まってくれて。「誰もいなかったらどうしよう?」とかもちょっと思いつつ。でも沢山の人が集まってくれて、ありがたいなと思って。

――パッケージとしては、前作のミニアルバム「Birthday」から8ヶ月ぶりのリリースとなりますが、1年にシングル4〜5枚とアルバム1枚を出されるようなアーティストも多い中、自分としては無理の無いペースで活動できていますか?

阿部:そうですね。マイペースというのとちょっと違うかもしれないけど、周りも良く考えてくれて。すごく無理なくやらせてもらってると思います。たまには無理しなきゃいけないのかもしれないけど(笑)。

――2007年のデビューから3年経ちましたが、実感は?

阿部:あっという間だったような感じもするし、でも3年と言われれば「もう3年なんだぁ」という風に。何とも言いがたい時間が流れてますね。

――周囲のサイクルの早さは、別に気になりませんか?

阿部:そんなに数たくさんはリリースしてないけど、リリースとなると2、3ヶ月の流れがすごく早くて、あれこれやっている内にあっという間に過ぎ去るじゃないですか。そういう時に、どれだけ流されずに色んなものを捉えられるか。振り返るとすごく流される部分も無くはないですけど、今回は少しでも自分の中に残ればいいなと思って。一人でも多くの人に聴いてもらえるように、迎え入れてもらえる所にはどんどん踏み込んで行って、歓迎されない場所でもチャンスがあれば踏み込んで行けるぐらいの強さが欲しいな。

――シングルといいつつ、前々作の「ワン ナイト トリップ EP」から2年振りなので、アルバムのような感じでお話を伺いますが、「空に舞う」を表題曲に選ばれる時に他にも候補曲がある中で選ばれたんですよね?

阿部:そうですね。シングルって今、配信だったり色んな状況下に、今までのシングル曲という概念とまたすごく流れが変わってきてるのがあって、他にもいくつか候補があって。「シングルだったら、もっとこうじゃないか」というディスカッションがある中で、「空に舞う」はもう割と早い段階で出来上がって形になっていた曲で、ライブでも何回も歌ってて。「『空に舞う』がいいな」と言って下さる方が徐々に増えてきて、じわじわと上り詰めてきた形ですね。

――作られたのはいつ頃ですか?

阿部:去年の春ぐらいですね。だから、去年も今年もずっと歌ってましたね。

――いつも先に曲があって、後から歌詞を付ける感じですか?

阿部:いつも決まりは無いけど、今回は曲が先で後で歌詞を乗っけましたね。

――タイトルは最後に付けたんですか?

阿部:タイトルは最後ですね。

――歌詞の内容は、最初から書きたいイメージがあって音に合わせていくのか、それとも音からイメージして話を作るような感じなのか。

阿部:曲が先だったので、軽くアレンジの手が加わったものをもって、「なんとなく、こんな感じかな?」みたいなイメージはあるんですけど。ただ、いざそれを書いていく時に、その曲の正体は書き上がるまで私も分からなくて。いつどんな時もそうで、曲が先で歌詞を後に書く時は更にそうなんですけど。結果として、流れがあって、つじつまが合うようには書くんですけど、書いてる最中はあまり「これは何なのか分からない」というのが正直あって。だから、いつも「どういう想いで」とか「どういう風に」と聞いて下さると、もう答えようが無くて、「何なのか分からないんです」と言うしかなくて。色々考えて、その中でやりくりして書いてるから、何も分からない訳がないんですけど、感覚としては「どうなっちゃってるのかな?」みたいな感じで。