電車。隣の女性が化粧を施している。化けるというのは人前ではすれば失敗してしまい本性が露わになるのでしないものだが、人間に関してはそれは当てはまらないらしい。ぼんやりと眺めていたが、みるみる美しい女性へと変貌していく様は圧巻。男子も化粧をするべき時代がやってくるかもしれない。

 水木イズム第八十六回。前回は「ひょうとく」と八百万信仰に関する講釈をさせていただいた。今回は女性の妖怪に関する講釈をさせていただこう。そんな今回紹介するブロンズ像はこちら。

 「針女」である。見ての通り美しい女性なのだが、名の通り髪は全て釣り針のようになっているのだ。夜道に現れて、にこりと微笑みかけてくる。しかし、この笑みに返してはいけない。返そうものなら、その男は連れ去られていってしまうのである。ヌレオナゴと呼ばれることもある妖怪だ。

 水木イズムで紹介した「濡れ女」と習合されることもある妖怪である。地獄先生ぬ〜べ〜に登場したのは、ヌレオナゴがモチーフとされているいうべきだろう。とはいえ、このような強引すぎるとはいえ逆ナンをされてみたいというのは男の性ではないだろうか。

 しかし、逆ナンをされたところで相手が妖怪ならばいかんともしがたいところがある。甘い話にご用心なんて標語もあるが、まさにその通りなのだろう。この「うまい話には裏がある」という感覚は世界共通であるようだ。例えば、アメリカの都市伝説にはこんな話がある。

 ある男が人生に行き詰まりむしゃくしゃしていた。そこで、街に見かけた女性をナンパすることにした。人も振り返るような美人だったのだが、なんとナンパは成功。その後、ホテルにて一戦を交え、そのまま朝を迎えた。

 男が眼を覚ますと、既に女性の姿はない。慌てて財布などの貴重品をチェックするが何も盗られていない。一夜限りの関係なんてこんなものかと洗面所に行くと、そこの鏡には口紅でこう書かれていた。

"ようこそ、エイズの世界へ"

 己の身の丈に合わぬ幸福というものは、必ずそのしっぺ返しが待っているものだと考えられている。富を得られる奇跡を得た人びとが、その奇跡を無意味なまでに行使した結果、失ってしまうという話もある。

 針女のような絶世の美人とは一手ご教授願いたいものではあるが、相手は妖怪。下手にホイホイついていけば、どのような仕打ちに合うか解ったものではない。その辺りの距離感が、注意が必要なところなのだろう。

 妖怪のことばかり四六時中考えている当紙記者には、女性なんていうのは縁のないことなのでしょうけども。妖怪でいいから連れ合いになってくれそうなのはいないのだろうか。案外、妖怪との異種婚姻型というのは多いのだが、その縁とすら巡り会うことは難しい気がしてならない。

 この非モテっぷりは妖怪の仕業ではないかと考えてみたりもする。しかし、妖怪もそこまで暇なやつは居ないだろう。妖怪へのアプローチばかりで、異性へのアプローチを忘れてしまったのが敗因だと言えるだろう。

 水木イズムを通して妖怪に精通し始めた皆々様方、くれぐれも現世との縁が切れぬようにご用心を。


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水木イズム バックナンバー
第八十一回「異獣」
第八十二回「山童」
第八十三回「たんころりん」
第八十四回「畳叩き」
第八十五回「ひょうとく」

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