ミランダ・ジュライ『いちばんここに似合う人』(新潮社クレスト・ブックス)が発売された。それも、岸本佐知子の翻訳で。16本の掌編と短編をあわせた1冊は、かなり刺激に富んでいる。

 実を言うと、私がミランダ・ジュライというアメリカのマルチアーティストを知ったのは岸本佐知子からなのだ。新潮社の文芸誌「yomyom」で、この本にも収録されている『水泳チーム』を読んで仰天した。水のない土地で、洗面器ひとつで老人に水泳を教える少女の物語?何それ?

 妄想が渦巻き、疑惑が飛び交う。人々は猜疑心に身もだえし、なんとか生活をしているようだ。胸につかえるような、それなのに思わずふふっと笑っちゃうような、そんな小説が16本。

 それにしても岸本佐知子はリディア・デイヴィスやジュディ・バドニッツなどクセの強い作家の小説を訳させるとひと際輝く。確かに彼女自身のエッセイも相当の偏屈ぶり。酷暑の続く毎日に、この変な味わいの一冊は暑さしのぎに有効かも。

(東えりか)




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『いちばんここに似合う人』刊行記念トークショー&サイン会
 9月8日(水) 三省堂書店神保町本店にて
 http://www.books-sanseido.co.jp/blog/jinbocho/2010/08/98.html







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