ベストセラー『これからの「正義」の話をしよう』の著者であり、4月〜6月にNHK教育テレビで放映され大反響となった「ハーバード白熱教室」のマイケル・サンデル教授が8月25日に来日、「ハーバード白熱教室 In JAPAN」の公開収録を東京大学安田講堂で行った。

 サンデル教授の「ハーバード白熱教室」は米・ハーバード大学で30年近く続く「正義」という政治哲学の講義を収録したもの。容易に答えが出せない身近な問題を例に生徒たち自身が議論を戦わせる対話型のこの講義は、毎回1000人に及ぶ受講者が教室を埋め尽くすほどの人気講座となっている。

 今回の東大での特別講義でも、東大生350人を含む公募の社会人や学生ら約1000人が参加。授業の始めにサンデル教授が「日本人はシャイだからあなたのような授業は難しいと言われた」と生徒たちに告げると、会場から「我々は新しい世代だからそんな心配はありません!」という発言が飛び出し、本家さながらの「白熱」した授業が行われた。

 「白熱教室」の最も大きな特徴は、サンデル教授が投げかける「正義」を巡る質問の数々。東大では次の5つの「難問」が議論された。

「飢えている人々が他人を殺してでも生き残ってもよいのか?」
「イチローの年収はオバマ大統領の約40倍、平均的な教師の約400倍。この格差は公正か?」
「大学の裏口入学。通常考えられないほど莫大な金額を寄付してくれるとしたらこれを許せるか?」
「殺人者である弟を告発しなかった兄。彼の行動は正しかったのか?」
「戦争といった自分が生まれる前の共同体の犯罪に責任を持つべきか?」

 これらの問題は、我々が直面する可能性のあるものばかりで、それだけに容易に答えることができない。サンデル教授は「君ならどうするか?」と問いかけることで、生徒たち自身に考えさせ、議論を深めていく。教授が議論をコントロールするのではなく、多様な回答をあえて受け入れ共通点を見出していく。そうしてあぶり出された結論が過去の偉大な哲学者の議論と重なるのだが、それすらも唯一の答えというわけではないとサンデル教授は言う。

 「あくまで我々の議論は『可能性』を指し示すものです。哲学は不可能であり、私にも未だにその答えは分かっていません。しかし、避けて通ることもできません。だから偉大な哲学者と同じように、こうして議論し続けるのです」とサンデル教授は4時間に及ぶ講義を締めくくった。

 今回の来日のタイミングに合わせて、8月27日には『これからの「正義」の話をしよう』の電子書籍版が発売になった。iPhone/iPadアプリとボイジャー「理想書店」で販売し、発売から3週間は900円(通常は1,600円)で購入できる。







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