韓国の刑務所で外国語教育、TOEIC970点など成績優秀者続出

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外国語教育を導入している韓国の刑務所で、成績優秀な学生が続出している。TOEICの試験を受験した受刑者28人中、なんと5人が900点以上となったという。

韓国の聯合ニュースによると、外国語の授業を行っているのは京畿道(キョンギド)の議政府刑務所。受刑者たちが出所したあと、社会生活をする際の助けとなるよう始まったもので、今年で11年目を迎えるという。毎年10月から翌年9月までの1年コースで、現在は英語28人、日本語29人、合計57人の受刑者が受講している。

授業は結構ハードのようで、ネイティブスピーカーとの会話のレッスンや映画鑑賞、模擬試験など、平日の朝8時半から午後4時間までみっちり行われる。このような授業により、日本語能力試験(JPT・990点満点)では、3人の受刑者が800点以上(うちトップは890点)、TOEIC(990点満点)にいたっては5人が900点以上(うちトップは970点)の好成績を収めたそうだ。

もちろん誰でも授業を受けられるわけではなく、刑務所が実施している語学試験で一定の成績をとり、刑務所生活で問題を起こしていないことが条件となる。

懲役15年の実刑判決を受け、今年で12年目を迎える受刑者Aさん(38)は、受講を始めた当時TOEIC700点台だったが現在は900点台。無期懲役で服役中のBさん(36)は、JPTの点数が500点台から800点台にまでなったという。

ちなみにJPTを主催しているYBM Si-saのホームページによると、740点以上で「日本語による適切なコミュニケーションが可能」、880点以上で「日本語により十分なコミュニケーションが可能で、会議や商談などのビジネスでもスムーズに業務を行える」レベルだ。

ネチズンたちも驚いているようで「すばらしい成績だね」「刑務所でこんなことをしているとは驚き」「人間は常に成長できる可能性があることを示している」などとコメント。

だが「雑念の無い環境で、毎日無料で授業できるなんて…」「大学生たちはお金がないから、月40〜50万ウォン(約2万8千円〜3万6千円)もかかる英会話教室に通えないっていうのに。頭にくる」「日本語や英語の高得点を取りたいなら刑務所へどうぞ〜って感じだね」と不満そうな人もいる。

受刑者たちが高得点を出しているのは驚きだが、結局それらの運営費は国民が納めている税金。それだけに、外国語教育を存分に受ける受刑者たちの環境には、つい非難の声も集まってしまうようだ。


参照:議政府刑務所、受刑者たち語学の実力「日進月歩」 - 聯合ニュース


(文:林由美)

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