社会生活を送る上でいろいろな所にかかってくる税金ですが、「何もそんなものにまで税をかけなくても……」と思わせるような内容の税金がいろいろと紹介されていました。

娯楽や嗜好品はもとより、自分の家に窓を取りつけることや用を足すことなど、生活に必要な物事にまで税金がかけられていたことがあるようです。さらには臆病(おくびょう)な心にまで税がかかっていたこともあったということで、時代背景によって思いもよらない決まりができあがってしまうものだと驚かされます。

これらの例を見ていると、現在の日本で同等のインパクトがある税制が誕生するとすれば「アニメ税」だとか「ヘアカラー税」ということになるのだろうか……などと想像をめぐらせてしまいます。

詳細は以下から。1:トランプ税


トランプ税は、人気があり、楽しいものは課税されやすいという代表的な例です。

まだテレビもない時代、夕食の後に家族でトランプをするのが流行していたため、国を統治している王がそこから税金を搾り取ろうと考えたとのこと。装飾的なデザインとメーカーのロゴマークがスペードのエースのカードに見られるようになったころ、16-17世紀の英国のジェームズ1世の統治の下で、税金の徴収は始まりました。税金はカードの製作に対して課され、その税金の支払証明としてカードにマークをつけることが求められました。それから1960年4月までの間、英国で売られるトランプには税金がかけられ、スペードのエースのカードには印刷業者の署名がされるようになりました。

2:キャンディー税


2009年9月、アメリカ・イリノイ州で他の食べ物よりも高い税率をキャンディーに課すことが決まりました。課税基準は「成分に小麦粉を含んでいる場合、あるいは冷凍保存が必要な場合」ということで、キャンディーと食べ物はこれできちんと区別できるという主張らしいのですが、どう考えても穴があるように思えてなりません……

3:アスリート税


アメリカで実際に導入されている「アスリート税」は所得税の1種で、その州、あるいは都市で収入を得るために外部から来た運動選手から税金を徴収しているようです。

州がビジネス目的で訪れる外部の人間をいちいち追跡する余裕がないという理由で、課税のターゲットとされたのはたいていはとても裕福で、有名なプロのアスリートでした。単に人気のあるスポーツ選手の出場スケジュールなどに課税するだけではなく、彼らの給料自体に課税をしていたようです。確かに効率よく税を徴収できるとは思いますが、よく練られた税制とは言えない気がします。

4:臆病(おくびょう)税


「臆病税」は10世紀のイングランドで始まった税金で、気後れした人に対する税金というのは名目で、理由は何であれ、王のために戦わないことに決めた人々に対して課税されました。

この「臆病税」はヘンリー1世の統治下で最初に導入され、その当時の税金は比較的安かったようです。しかし、その後、ジョン王は税率を300%というとんでもない数字に引き上げて、戦争がなかった年にすべての騎士に税を課すというはっきり言ってムチャクチャなやり方を行い、これが後にジョン王の権限を限定するマグナ・カルタにつながった理由の1つとも言われています。

この税制度は300年間残っていましたが、その後軍隊に課税する方法に取って変わられました。

5:帽子税


「帽子税」はイギリスの首相・ウィリアム・ピットが就任した年に導入されました。各個人の裕福さにおおよそ一致した割合で税率を上げていく方式になっていて、政府が単純明快な方法で収入を得られるよう設計されました。

なぜ帽子が課税対象になったかというと、帽子は装飾品であるため、金持ちは高価な物をたくさん買いそろえ、貧乏な人は安物の帽子を1つだけ買うか、あるいは1つも持たずに生活していると仮定されたからです。この税の導入によって帽子屋は営業するにあたってライセンスを購入することを強いられました。もしこれを破ったり脱税した場合は罰金が科せられ、そたとえ婦人用の帽子屋であろうと「帽子を身につけている人」であれば例外にはならず、破ったり脱税した場合は罰金が科せられました。この税金がらみでは、帽子税の収入印紙の偽造者が死刑になっているそうです。

6:窓税


17世紀から18世紀の英国では、「窓税」は社会的に重要で、文化的にも建築上でも大いなる力を持っていました。その当時の家には、窓の部分に赤レンガが積まれ、その部分をふさいでいるものが多く見受けられます。最初に導入されたのは1696年、ウィリアム3世の時代で、裕福な納税者に課税して財政を補おうというのが動機だったようです。

まず家1軒あたり2シリングが課税され、その家についている窓の数に応じてさらに支払う金額が増えていく方式だったとのこと。そのため、一般家庭の人々は窓を取り外してふさいだりしていたわけですが、王国で1番お金持ちの一家は国家に取り入るためにこの税制を利用し、その邸宅だけでなく別荘にまでできるだけ多くの窓を取りつけ、耐力壁にまで窓をつけて多くのお金を事実上融資していたようです。

そんなこんなでまったく健全に働かなかった「窓税」ですが、驚くべきことに1851年になるまで撤廃されることはなかったそうです。

7:ヒゲ税


1535年に英国のヘンリー8世が導入したのが「ヒゲ税」です。この税金はヒゲを生やしている人の社会的地位に従って変化する累進課税制でした。彼の娘であるエリザベス1世はさらに税制を強化し、2週間以上伸ばしているヒゲはすべて課税対象としましたs。

ヒゲ税は帝政ロシアでも導入されたことがあるのですが、英国の場合とやや事情は異なります。ロシア皇帝ピョートル1世が「ヒゲは品がない」と考えたことから「ヒゲ税」が制定され、ヒゲを生やしたい人は税を納めた上で証明書を持ち歩かなくてはならなかったそうです。これは別に皇帝の趣味ではなく、国力が強いヨーロッパ諸国の文化が多く導入され、公用語もフランス語が採用されるなど西欧化していた国内の状況を改革したかったという思惑があったようです。

8:コカイン税


「コカイン税」は2005年1月にテネシー州議会で定められた、違法ドラッグや密造酒に対する税です。麻薬のディーラーは匿名で税務署に麻薬に対する税を支払い、その証明のための印紙を受け取るシステムになっています。仮に逮捕された際にディーラーが印紙を所持していない場合、それ相応の罰金が求められるとのことですが、はたから見るとちょっと不思議なシステムですね……

テネシー州以外にも同様の手法で違法ドラッグに課税しているところは22州ほどあるとのこと。また、ドラッグ以外にも売春に関して税がかけられることも多いようです。

9:おなら税


2003年にニュージーランドで京都議定書にならう形で温室効果ガス削減のために提案されたのが、牛などの家畜のおならに課税するいわゆる「おなら税」と呼ばれるものです。ニュージーランドでは家畜によるメタンなどの温室効果ガス排出が全体の50%を占めていることから発案されたアイデアだったのですが、当然ながら反発は大きく、農業が国の産業として重要であったことから、労働党政府はこの税の実現をあきらめたそうです。

10:オシッコ税


「貨幣は臭くない」というフレーズは、ローマ帝国で生まれた「オシッコ税」という不思議な税から生まれたものだといいます。ウェスパシアヌスが息子のティトスに「オシッコ税なんてばかげている」と抗議された際、このように返答したと言われており、現在も貨幣価値は汚れのないものだという意味で使われているそうです。

尿に含まれるアンモニアで羊毛のトーガ(衣服)の漂白や殺菌をしていたため、織物業者などは公衆トイレの尿を利用するのに税金を支払わなくてはならなくなりました。そんなことがあったからか、フランスやイタリア、ルーマニアの公衆トイレという単語の語源はウェスパシアヌスの名前だそうです。

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