「大魔神」を通してみる戦後史の中の「特撮」

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 「大魔神」という言葉を聞いて、何を思い出すだろうか。
 20代から30代、もしかしたら40代の方は、横浜ベイスターズやシアトルマリナーズで活躍した佐々木主浩さんを最初に思い起こすかも知れない。しかし、特撮好きや50代以上の人なら、佐々木さんよりも前にある映画を思い出すのではないだろうか。

 印象的な変身のポーズに、まるで埴輪のようなフォルム。
 1966年はまさに「大魔神」の年だった。「大魔神」とは1966年に大映が製作、上映された特撮映画で、ゴールデンウイーク、夏休み、冬休みと1年間に立て続けに「大魔神」「大魔神怒る」「大魔神逆襲」という3本の映画を上映、人気を博した。その後も再上映やテレビ放送、さらにはパロディにも使われ、「大魔神」は私たちの脳裏から消えずに今でも焼きついている。

 では、どうして「大魔神」は日本人たちに受け入れられ、そして今に至るまで日本人の心に刻まれ続けてきたのか。

 角川書店より出版されている新書『大魔神の精神史』(小野俊太郎/著)は、「どうして大魔神は埴輪なのか」「アラカツマとは何者なのか」をはじめ、全10章から「大魔神」の歴史、背景、そして日本にもたらしたものを分析する。

 1960年代半ばに「大魔神」が公開され、その後も人々を魅了し続けてきたその光景を、日本の戦後史と重ねてみると、また新たな戦後の一面が見えてくる。それは戦後の日本人の精神史そのものであったりもする。
 本書はまさに「大魔神」ファンは必読であり、また戦後の特撮が好きな人にとっても興味深く読めるだろう。
(新刊JP編集部/金井元貴)


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