現役京大生が小説家デビュー 村上千晃さんに聞く

写真拡大

 『鴨川ホルモー』の万城目学さん、『決壊』の平野啓一郎さん、『夜は短し歩けよ乙女』の森見登美彦さん。今をときめくこの3人の作家には、ある共通した経歴がある。それは、いずれも京都大学出身であるということだ。
 この3人のほかにも清涼院流水さん(2001年中退)が同時期に京大に通っているが、ご多分に漏れず多くの読者を抱える人気作家となっている。

 そんな活きのいい作家を次々と輩出する京大だが、新刊JP編集部は今回、現役京大生が小説家デビューを果たしたという話を入手。さっそく取材を試みた。

 『プリズム』(講談社/刊)で第15回「講談社Birth」小説部門賞を受賞、小説家デビューを果たした村上千晃さんは現在、京大に通う現役大学生だ。『プリズム』は、近未来を舞台にある一人の女子学生の“異変”をめぐって様々な思惑が交錯する、SF要素をふんだんに含んだミステリーエンタテインメント小説。「一番の魅力」という最終章は、簡単に読まれないようにと袋とじになっている。

 「もともと伊坂幸太郎さんや大学の先輩である森見登美彦さんの書くようなエンタテインメント色が強い小説が好きでした。特に伊坂さんの影響は強く受けていると思います」と村上千晃さん。本作を読んでみると、なるほど、荒削りで勢いがありながらも非常に繊細にラストまでの構成が組み立てられており、その繊細さに伊坂幸太郎の色が見え隠れする。伊坂ファンならなんなく受け止められるだろう。

 そんな村上千晃さんの小説を執筆する上でのバックボーンは、やはり“京大”だ。「独特で個性的な人が多い」という文化の中で、研究やサークル活動などを通じて常に刺激を受けていると村上千晃さん。「授業やサークルなど、1つ1つの日常の場面が筆をすすませてくれる原動力になっています」と話す。

 では、村上千晃さんのライバルとは一体誰なのか? 聞いてみると、「ライバルというより、個人的に意識しているだけなんですが」と前置きした上で、朝井リョウさんの名をあげてくれた。
 朝井さんは『桐島、部活やめるってよ』(集英社/刊)が人気の若手作家。現役早稲田大学生で、村上千晃さんとは同年齢。「実はまだ(朝井さんと)会ったことがないんです(笑)。だから一度会ってみたいですね。同じ平成元年生まれとして、東と西でこの世代を盛り上げていきたい」と意気込む。

 現在は、次回作の出版に向けて動き出しているそう。
 『プリズム』は若さ溢れる荒削りさと、その「結末」に大きな魅力があった。そうした強い武器を今度どのように洗練させていくか。若手小説家の未来に、期待が膨らむばかりだ。
(新刊JP編集部/金井元貴)


【関連記事】  元記事はこちら
小説の舞台で行ってみたい場所【実在編】
京都を舞台に摩訶不思議な対抗戦
知っているようで知らない“日本の風習”

【新刊JP注目コンテンツ】
特権的情人美食―村上龍料理&官能小説集(新刊ラジオ 第369回)
100冊が並ぶ!新刊JP的 夏の100選 2010