自分には他人に譲れないこだわりを持つ分野があり、どうしてもそれで成功したい―そのような夢を持つ人は多いのではないでしょうか。

 イギリスのセレブな家庭に育ちながらも、アパレルの販売員として働き始め、遂にはファッション業界の頂点であるアメリカ版「ヴォーグ」の編集長に上り詰めたアナ・ウィンターもそのような夢を持つ若者の一人でした。

 多くの若者が、自分の夢を追いかけながらも夢半ばで潰えて諦めて行くのに反して、彼女のこだわり方は子どもの頃から他人と一線を画するものでした。アナの半生を描いた『Front Row アナ・ウィンター ファッション界に君臨する女王の記録』では、そんな彼女のファッションへの情熱を象徴的に示すエピソードが紹介されています。

 幼い頃から学業には無関心で、おしゃれにばかり興味を向けていたアナは、高学歴者ばかりである家族の頭痛の種でした。夢はファッション業界で働くこと。しかし、将来は名門大学にと考えていた両親の希望もあり、高校は由緒ある進学校に入ります。

 イギリスの進学校と言えば、厳しい校則が当たり前。勿論、おしゃれに関しても制服の着方から厳しく制限されていました。そんな環境にアナは息苦しさを感じていましたが、ある日、当時流行し始めていたミニスカートを履いて登校した彼女は、それが元となった騒動により、高校を自主退学してしまいます。

 ミニスカートで登校したアナは、校長によって目をつけられ、他の生徒に対する見せしめとしてスカートを破られました。破れたスカートのまま下校したアナは、二度と戻ることはありませんでした。

 普通の人なら気持ちが挫け、ドロップアウトしてしまうところですが、彼女はこのことに全く落ち込む様子はなく、むしろ誇りにさえ思っていたと当時を知る人は言います。また、退学時には「ファッションが理解できない人間は一生理解できない」とさえ言い放ったそうです。

 この後、彼女は本格的にファッション業界への道を歩み始め、紆余曲折を経て38歳の若さでアメリカ版「ヴォーグ」編集長に就任しました。なので彼女の最終学歴は、この時の高校中退のままです。

 周囲を圧倒するその辣腕ぶりから「氷の女王」と呼ばれ、映画『プラダを着た悪魔』の鬼編集長のモデルと言われるアナ・ウィンター。その厳しさばかりがメディアで有名になってしまった彼女ですが、その裏には、これほどのファッションに対するこだわりと情熱があったのです。



『Front Row アナ・ウィンター』
 著者:ジェリー・オッペンハイマー
 出版社:マーブルトロン
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