人見知りの坊主頭が“傾聴力”を身につけてガールズバーに行ってみた
 新刊JP編集部の中にやたら目立つ坊主頭がいる。
 以前は剛毛のような頭を振りかざしていた彼だが、「暑い」という一言のみを残し、休み明けにきれいさっぱり坊主にしてきた。


 さて、その坊主頭、実は昔からやたら人見知りする性格のため、対面の人と話すと緊張してしまい、なかなか言葉が出なくなる。そんな彼に今回課したのは、「ガールズバー」に行き、女性とおしゃべりをしてきなさい!という、なんと夢のような課題だ。

 コミュニケーション力を磨いてもらうため、1冊の本を坊主頭に手渡す。

 「コレを読んで、カンペ代わりにして実践してきなさい」

 今回の課題図書は明日香出版社から出版されている『話が通じない人とも話せる傾聴力』(武藤清栄/著)。
 苦手な相手、大切な相手と会話をする上で重要なのは、話すスキルだけではない。受け答え時の態度もその会話を左右する。本書はそんな「話を聴く」ためのスキルに内容がフォーカスされているため、無口で人見知りな坊主頭でもすぐに実践できそう。
 また、同じく武藤清栄さんが監修した『雑談力』(明日香出版社/刊)も使えば問題なくガールズバーで女性とおしゃべりができるということで、そちらも読んでもらうことに。

◇   ◇   ◇


 さて、当日。都心に程近い繁華街に降り立った坊主頭と新刊JP編集部。繁華街のネオンがまぶしい。

 「ガールズバー」とは、女性がバーテンダーを務めるバーのこと。カウンター越しに女性バーテンダーと話すことができ、普通のバーとキャバクラの間といったところか。1時間の料金はキャバクラよりも安いところが多く、経済的にお酒を飲むことができる。

 今回の坊主頭のゴールは、初対面の女性との会話を楽しみ「すごく話しやすいですね!」「話していて楽しい!」というキーワードを言われること。それを聞いて『傾聴力』を読んでいる坊主頭は余裕の表情だ。

 坊主頭は事前に調べたバーにさっそく入店。髪が長く、スラッとした綺麗な女性が出迎えてくれる。名前はミサキさん(仮名)。坊主頭、「はい」と一言だけつぶやき、緊張の面持ちで案内された椅子へ。さっきの余裕の表情はどこへ行った!?

 座ってもペースを崩さない坊主頭。コップに注がれたブランデーをゆっくりと口に入れる。

ミサキさん「こういうところ、初めてなんですか?」
坊主頭「はい、初めてです」
ミサキさん「えー?今日はじゃあ初体験ですね!」
坊主頭「…ハイ。」
ミサキさん「楽しんでってくださいね!」
坊主頭「…。」

 盛り上がる気配がしない。「楽しんでって」と言っているのに、無言って。仕方なくメールで「相手に話させて、『傾聴力』のテクで盛り上げろ」と指令を出す。

坊主頭「あの、音楽は聴かれるんですか?」
ミサキさん「音楽?自分からはあんまり聴かないですね」
坊主頭「へえー」
ミサキさん「この店、カラオケがあってよくリクエストされるから、覚えないといけないんですよね。大変だけど」
坊主頭「覚えるんですか。大変ですね」
ミサキさん「でも、断れないですから。たまに演歌をリクエストされたりするんですよ」
坊主頭「演歌!おー」
ミサキさん「拳を入れて歌って(笑)」

 上手くテクを使い始めた坊主頭。まずは相づちだ。『傾聴力』によれば、相づちは対話のリズムを作ったり、話をうながしたりと様々な機能を果たす。また、「へえ」「ふうん」「それで?」「ああ」「いいね」と基本的に母音を使うため、柔らかな印象を与えるそうなのだ。
 続いて、「オウム返し」。これは相手の気持ちのこもった言葉を拾って返すことで、相手の気持ちを寄り添うことができるテクニックだ。
 上手く会話をリードし始めた坊主頭。これまで会話内で発した言葉は「はい」「へえー」「覚えるんですか。大変ですね」「演歌!」だけだが意外と盛り上がっているように見える。

坊主頭「僕は本が好きなんですが、本はどうですか?」
ミサキさん「あ、私、本好きですよ!え、本、結構読まれるんですか?
坊主頭「はい、僕も読みますよ」
ミサキさん「へえー!海外のですか?ちょっと間違えていたらごめんなさいだけど、難しそうの好きそう!
坊主頭「ああ、難しいのかなあ。でもプイグ(マヌエル・プイグ)とか好きですね」
ミサキさん「その、プイグって、どういう作品書いているんですか?

 坊主頭は確かに難しめの海外文学や純文学を好んで読んでいる。そしてその話をするときは熱っぽくなるのだ。『傾聴力』の中に「自分の知りたいことを聴くのではなく、相手が話したいことを引き出す」というテクがある。自分の興味を押し付けるのではなく、相手の話したいことを話させる。話したくないことを話させたりするのはストレスにほかならないのだ。
 さらに、「わからないことは教えてもらう」というのも傾聴力ポイントの1つ。自分の知識に興味を持ってもらい、役立ててもらえるのは誰だって嬉しいのだ。分からないことは恥ではなく、聴かないことが恥。これはビジネスシーンでも十分見られる光景だ。

 ひとしきり文学話で盛り上がったところで、ちょっとした悩み相談。

ミサキさん「もうすぐタバコが値上がりするじゃないですか。禁煙したいんですよね」
坊主頭「禁煙したいんですか。煙草お金かかるし、健康にも悪いですよね」
ミサキさん「そうですよ、あ、じゃあ一緒に禁煙しませんか(笑)? でも止められそうにないんですよね」
坊主頭「大変ですよね」
ミサキさん「ですよねー。どうしよう、迷うなあ」

 坊主頭、『傾聴力』を読んだ効果をひたすら発揮だ。まず、少し前に坊主頭は「煙草は止めない」と断言していた。しかしここでは禁煙という相手の言葉に対し、否定せずに「あなたの立場は理解できる」という共感の念をもって話している。こうして相手の気持ちに寄っていくことができるのである。異性の恋愛のアドバイスにも有効かも?
 また、「すぐにアドバイスをしない」ということも傾聴力テクの一つだ。相手が自己決定をできるように援助する。これは後輩や部下を育てる上でも重要だ。

 ほかにも「話をさえぎらない」「共感をしながら質問をする」など実践。お酒も入ったおかげか、初のガールズバー体験にしては、上々の出来だった。
 さて、最後ミサキさんは坊主頭になんと言ってくれるのか? 

ミサキさん「今日はありがとうございました! すごく・・・

 すごく・・・? 坊主頭に緊張が走る。

ミサキさん「本読んでてすごいなーって思いました。また来てくださいね!」

 「すごく話しやすいですね!」ではなかった。本を読んでいる青年というイメージを植えつけてしまったようだ。そりゃあんだけ語ればなあ。しかし、坊主頭自身の手ごたえはバッチリ。「今度行けば必ず言ってもらえるよ!」と意気揚々だ。

 
 『傾聴力』は本書のようなガールズバーというよりも、どちらかというとビジネスシーン向けのコミュニケーション術が満載だ。いついかなるときでも、会話というのは人をつなぐ最大のコミュニケーション方法である。
 初対面の人から、苦手な人、そして大切な人と、会話でお互いを高めていけるように、『傾聴力』を読んでみてはいかがだろうか。
(新刊JP編集部/金井元貴)


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