相撲協会の理事長交代の裏に何があったのか。

 日本相撲協会の新理事長には、放駒親方が就任したが、前任の武蔵川親方が辞める辞めないで二転三転。一時は、代行していた村山弘義外部理事が昇格するという話も浮上していただけに、記者からは「文科省に外部から理事長を出せと要望され、慌てて協会内部で決めたのでは」という見方もされていた。

 だが、協会関係者からは「問題は外部の人が就任することじゃなくて、村山さんが就任することに反対の声があったから」という声も漏れている。村山氏は元東京高検検事長のいわばヤメ検。不祥事後のコンプライアンス確立に適任という印象があるが、なぜダメなのか。

「村山氏は、暴力団傘下の企業とみられた会社に立ち退きを依頼した不動産会社『スルガコーポレーション(民事再生手続き中)』で、昨年まで監査役に就任していた人物。反社会的勢力とつながりが報じられた会社の役員に就任するような方が、今回の不祥事回復に適任と思えますか?」(協会関係者)

 これは同じ元検事の現弁護士も「普通、総長や検事長クラスの大物はそんなレベルの依頼は受けないし、代行時にだって何度も姿を消し、本業の弁護士業務を優先していた」と村山氏の腰の軽さを指摘している。相撲に専念できるようには見えないのは確かだ。

「それに村山氏が弁護を受けている先には、かなりダークな依頼人も見受けられます」(同弁護士)

 不祥事を起こした側にとっては、ヤメ検の肩書きは信頼回復の看板になるが、ヤメ検にとっては美味しい仕事に飛びついただけ、というようにも見える。

 かつて、元東京高検検事長の根来泰周氏がプロ野球のコミッショナーに就任、元東京地検特捜部長の熊崎勝彦氏が同代行に就任したことがあった。前出弁護士によると、ヤメ検を使う側のメリットは他にもあるという。

「最近では大手芸能プロがヤメ検や元警察幹部を顧問に雇っています。暴力団関係や犯罪がらみの問題が起きた時、こうした顧問は警察、検察の動きをいち早く情報入手でき、企業の被害を最小限に抑えられるんです。同時期に麻薬で逮捕された酒井法子と押尾学では、酒井の方が圧倒的にドタバタが報じられましたが、あれは押尾の方は所属したエイベックスに有力ヤメ検、ヤメ警の顧問がいたからでしょう」(同弁護士)

 緊急時の対応策に雇えば効果は絶大というわけか。ただ今回、相撲協会はヤメ検を外部理事としては置きつつも、中央に据えたがらなかった。

「いくら役立つ人間といっても金次第でどうにでも転ぶ人物。業界の中身を全て把握されてしまっては、その情報が将来、外に漏れることだって考えられる。権力まで握らせるわけにはいかない」(前出関係者)

 つかず離れず程度の関係がちょうどいいということか。
(文=黒崎竜太郎)



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