特殊部隊上尉(ハンドルネーム)さんはこのほど、北朝鮮の小学校の教科書には、故金日成(キム・イルソン)主席が朝鮮戦争時に旧日本軍の三八式歩兵銃で米軍機を撃ち落としたとするエピソードが掲載されていると紹介。見出しを「あなた方は信じられるか????」として、同国の「神話づくり」を皮肉った。

 教科書は、洞窟に立てこもっていた金日成将軍のもとに彭徳懐司令が訪れたことを紹介。両者は拙劣な条件でも「米帝国主義」と戦いぬくことを誓う。

 すると、空襲警報が鳴り響く。危険だとする警備兵の声にもかかわらず、金将軍は日本軍から鹵獲(ろかく)した三八式歩兵銃を手に洞窟(どうくつ)の外に出て、爆撃を繰り返す米軍機に照準を合わせて射撃。銃弾は命中し、米軍機1機が空中で爆発し、粉々になって落ちる。その他の米軍機はおじけづき、南に向け逃げ去る。周囲の戦士らから、偉大なる金日成将軍への万歳の声と、中朝友好をたたえる叫び声がわき上がる。

 同投稿の本文は、北朝鮮の小学校教科書に掲載されているという部分だけを紹介した。投稿者の見方などは一切しるさなかったが、見出しに「信じられるか????」と疑問符を繰り返したことで、「作られた神話」との主張が伝わる。

 中国では米国との対抗上、北朝鮮を「味方」として擁護する世論も根強い。一方、同国の体制は「中国の文化大革命期と同じ」として、人民の抑圧や言論統制、事実と乖離(かいり)した政治的宣伝への批判的見方も強い。「歴史的には中国の一部」、「現在は経済的な落後国」として、見下す感情もある。

 また、北朝鮮の「虚偽の神話」に対する批判が、自国の支配体制への批判に結びつく可能性もある。

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◆解説◆ 三八式歩兵銃は日本陸軍が明治38年(1905年)に仮採用、明治39年に制式採用した軍用小銃。「名銃」とされ、第二次世界大戦時も広く使われた。装弾数は5発で、現在一般的に使われている自動小銃のような「連発」はできない。三八式歩兵銃で飛行機を撃墜することは、ほとんど考えられない。(編集担当:如月隼人)



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