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最下位からの果たし状【伊藤寿学】

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浦山利史(編集長)提供:Jマガ

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 柏3点、甲府9点、千葉5点、福岡4点…この数字が何を示しているかが一瞬にして分かる人はかなりのJ2フリークと言えるだろう。これは、ワールドカップ中断期間明けの4試合で積み上げた勝点だ。J2全19クラブのリーグ戦再開後の勝点を比較してみるとチームの勢いがハッキリと浮かび上がってくる。4試合で9点を稼いだ2位甲府は幸先良いリスタートと言えるが、柏を筆頭にそのほかの上位陣は苦しんでいる。こんな状況の中、4試合で勝点10を獲得しているチームが2つある。一つは、東京V。こちらは甲府、柏を破っているためすでに脚光を浴びているが、大外から猛然とまくりを仕掛けているチームがある。中断前まで最下位に低迷していた草津だ。

■浦和なんて恐くない
 草津の快進撃は中断期間中の7月5日に行われたプレシーズンマッチ・浦和戦から始まっていた。6月下旬に全国有数の温泉街・草津温泉でキャンプを張った草津は、オーストリア帰りの浦和から怒とうの3ゴールを奪い3対1で完勝しているのだ。浦和フィンケ監督は「時差と疲れがどのような影響を及ぼすかがこの試合で分かったはずだ」と言い訳を並べていたが、内容的にも草津が上回っていたことは明らかだった。草津の選手からは「浦和は若い選手も多かったし恐さがなかった。本気じゃなかったでしょ」と気遣う声すら聞かれていた。その時点ではJ2最下位チームの単なる妄言(もうげん)と取られても何らおかしくはなかった。だが、草津は浦和戦で大きな手応えをつかんでいた。

■昇格予備軍を一網打尽
 中断明けの4試合は偶然にも4位〜7位につける福岡、鳥栖、熊本、栃木だった。4チームは先頭集団に次いで第2集団を形成する昇格予備軍で、草津のチーム力を図る上では格好の試金石でもあった。再起を懸けて後半戦へ臨んだ草津は初戦・福岡戦で終了間際に決勝ゴールを奪って絶好のスタートを切ると、続く鳥栖戦こそドローに終わったものの、熊本戦では高木監督に「完敗だった」と言わしめる完勝。北関東ダービー・栃木戦では前半に先制こそ許したが後半に「格」の違いをみせつけた。「開幕当初はチームが自信を失っていたが、今はどことやっても戦える自信がある」(松下主将)。4戦を3勝1分とした草津は、不甲斐ない姿をさらしたリーグ序盤のチームに別れを告げた。

■ルービックキューブ、元に戻らず
 草津は再開後の4試合で、前半16試合(2勝4分10敗)と同じ勝点10を獲得した。高田は「これだけ勝点を上乗せしてもまだこの順位(16位)にいるっていうのは、前半がいかにダメだったかを表している」と自嘲気味に笑う。中断前までの草津は「迷える子羊」(副島監督)だった。例えるならば、完成が近づいていたルービックキューブを新たに組み上げようとしてイジっていたら元に戻らなくなってしまった、そんな感じだった。バラバラになったチームを立て直すのは簡単ではなかった。昨年と同じメンバーに戻しても、昨季のようなポゼッションサッカーはできなかった。そしてクラブワーストの開幕5連敗スタートとなった草津は低迷が続き、負のスパイラルへ突入。最下位のまま約1カ月間の中断期間を迎えることになってしまった。

■サポーターはカンファレンスを要求
 サポーターも黙っていたわけではない。コアサポーターの一部は、中断期間中にサポーターズカンファレンスの開催を要求。それを受けたクラブ側は、クラブがサポカンを主催するのではなくサポーターの会議にクラブ幹部が出席するという形で応じた。その場でサポーター側は成績低迷についての説明を求め、逆にクラブ側は応援ゾーンの再活性を促すなど、双方が腹を割った意見交換を行った。会議では意見が食い違うシーンもあったが、サポーターの行動がクラブに刺激を与えたことは事実だろう。サポーターはクラブへ要求した以上、応援ゾーンをさらに盛り上げる責任が発生する。再開後のホーム戦2試合を観るかぎり、両者の距離は縮まった気がする。クラブ、サポーターのこんな行動もチーム復活の要因の一つだ。
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