東京都北区赤羽 1 (GAコミックススペシャル)
清野とおる様インタビュー「日本のインド? 赤羽がカオスすぎる件」

赤羽では、わりと頻繁に人が逮捕される場面を見ますね。こないだなんて居酒屋で飲んでいたら、隣の人がいきなり警察官に囲まれて逮捕されていましたからね。無銭飲食の現行犯で。


警察官が追っかけてきて捕まる人もいれば、警察署に突っ込んでいって逮捕される人も存じ上げております。最近僕がよく行く赤羽の居酒屋の外国人ママなんて、警官が嫌いって理由だけで赤羽の警察署に乗り込んで数回逮捕されていますからね。あと1回逮捕されたら強制送還なので、今はおとなしいフリをしているみたいですが。


-- 逮捕が多いということは犯罪が多いということですか?

多いかどうか知りませんが、たまに全国ニュースで流れるような事件も勃発しますね。数年前、中学生の不良グループが赤羽の酔っぱらい達を"ヨッパッピー"って呼んでいて、「あ、ヨッパッピーがいる。あいつ狙おうぜ」みたいな感じでオヤジ狩りをしていた事件はニュースステーションとかで流れていましたね。被害にあったヨッパッピーの一人が、僕がよく行っていた居酒屋のマスターだったんですけど…(苦笑)

マスターにその話を聞くと、飲んだ帰りにゲームセンターに入ったところ、泣いている女子中学生がいたので、「どうしたの?」って声をかけたんだそうです。すると、その瞬間に5〜6人の中学生が「てめぇ俺の女に何声かけてんだよ」ってからんできて、マスターの友人が柔道技で投げ飛ばされたらしいんですよ。


-- 中学生が美人局みたいなことやってんですね。

僕は赤羽でそこまでガラの悪い中学生は見たことないですけど、ひょっとしたらそこらに潜んでいるのかもしれませんね。だとしたら恐ろしい話です。

あと、赤羽では「放火」や「爆発」いう大変稀有な場面にも遭遇させてもらいました。僕も通っていた赤羽自動車学校というのが北赤羽にあったんですが、学校やめて温泉を経営しよう、ってことで地面を掘っていたらガスが吹き出て大爆発したんですよ。赤羽の、当時住んでた僕のアパートからも火柱が見えるくらいのすごい炎で、100台くらい消防車が来たんですよ。

ヨッパッピー事件の居酒屋のマスター夫婦なんて、すぐに店しめて、立ち入り禁止のマンションに勝手に入って火柱を眺めながらワンカップで一杯やっていたみたいですね。


-- 赤羽の人は事件を心待ちにしているんですか?

どうでしょうね…。でも、何故か被害に遭っても嬉しそうな人もいますね。知り合いのスナックのマスターも、赤羽にサルが現れて大騒ぎになったとき、テレビのレポーターに「うちの屋上で育てたサクランボが、ひとつ残らず食われてしまったんだよ!」って言いながら、シタリ顔しているんですよ。

知り合いのラーメン屋のオヤジも「あのサルを最初に見つけたのは俺なんだよ!」って言い張ったりして、事件の渦中にいるのが赤羽ではステータスなのかもしれませんね。

あと、とにかく放火が多くて、サルにサクランボ食われたスナックのマスターも放火されていますし、昔バイトしていた飲食店の店長と、そこのパートのおばちゃんもそれぞれ放火されていたり、放火されている人が異常に多いんですよ。常連客に店を燃やされた居酒屋の店長もいましたし。


--放火がそれだけ多いと、みんなで防犯したりしているんですか?

…普通に燃えていますね。そういえば、うちのアパートの向かいも放火されていましたよ。すごい騒ぎになってみんな家から飛び出して来たんですが、隣のアパートに住んでいたバングラディッシュ人のおじさんのパジャマがスカートだったのを覚えていますね。

放火された木材が、そのバングラディッシュ人の所有物だったらしくて、スカートのパジャマを着ながら半ベソかいてものすごく申し訳なさそうな感じにしていたんで、みんなで「あなたは悪くない。悪いのは放火魔!」って励ましていたんですよ。


--逮捕と放火以外ではどんな事件が多いんですか?

最近、周囲で自殺がらみの話をよく耳にしますね。こないだも駅付近を歩いていたらパトカーがいっぱい停まっていて、何かあったのかと周辺の店のおばちゃんに聞いたら、「マンションの4階から、人がピョーンて飛び降りたのよ、ピョーンて!」って楽しそうに言うんですよね。さらに聞くと、10年前もまったく同じ部屋から老婆が飛び降りたことがあるらしいんですよ。同じ部屋の同じ窓から。ありがちな心霊話ですが、その辺のおばちゃんの口から聞いちゃうと、かなり恐ろしいですよ…。

-- 赤羽はインドのガンジス川みたいというか、死が日常に近い感覚なんですかね?

高齢の人も多いし、人の死が日常にある時代の感覚が残っているのかもしれませんね。「まあ、遅かれ早かれ人はいずれ死ぬし」「しょうがないよね、死んじゃったんだから」っていう、おおらかな考えですよね。

サルにサクランボ食われたスナックのマスター
が主催した"サクランボ狩りツアー"に去年参加したんですが、その時仲良くなったお婆ちゃんが二人、最近お亡くなりになられたそうです。あの時、一緒にサクランボを食べたりお酒を飲んだり歌を歌ったりしたお婆ちゃんが、もうこの世には居ないんです…。なんか信じられません。

また、よく行く居酒屋の常連の爺さんが葬式に行ってきたらしくて、「今日、葬式行ってきたんだよね。写真見る?」とか言って、死者の顔とか楽しそうに見せてくるんですよね。もう一気に醒めます、酔いが。そして違う意味で酔いました。

赤羽はそんなふうに、死が近い街ですね。その分、赤羽にいると自然と死について考えさせられますし、素晴らしいところですよ


プロフィール
清野とおる
異色ギャグ漫画化。1998年、ヤングマガジン増刊号赤BUTA『アニキの季節』でデビュー。大学在学中に『青春ヒヒヒ』『ハラハラドキドキ』をヤングジャンプにて連載するも、即打ち切りに。現在、奇怪な地元住民および珍スポットの異色エッセイ漫画『東京都北区赤羽』(Bbmfマガジン)で局地的に大ブレイク中。


東京都北区赤羽 1 (GAコミックススペシャル)
著者:清野 とおる
Bbmfマガジン(2009-06-16)
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この記事の元ブログ: 清野とおる様「日本のインド? 赤羽がカオスすぎる件」



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