紀伊國屋書店 新宿本店 ピクウィック・クラブさんに聞く『これであなたもモテモテ!? 持ち歩いているだけでカッコよく見える3冊』
 世の中にはあんな本やこんな本、いろんな本がある。そのテーマも十人十色。「感動したい本が読みたい!」「思いっきり怖い本を味わいたい」と思っても、 どんな本を選べばいいのか分からない! とお悩みの方も多いはずでは?
 そんなときにあなたの味方になるのが書店員さんたちだ。本のソムリエ、コンシェルジュとしてあなたを本の世界に誘ってくれる書店員さんたち。
 そんな彼らに、テーマごとにお勧めしたい本を3冊答えてもらうのが毎週水曜日に配信する、この「わたしの3冊」だ。 【「わたしの3冊」バックナンバーはこちらから】

 夏真っ盛りの8月のテーマは『これであなたもモテモテ? 持ち歩いているだけでカッコよく見える3冊 』。
 この本いつでも持ち歩いて、愛読しているヤツはかなりイケてるんじゃない!? そんな3冊を書店員さんに紹介してもらう。今回は毎月第2水曜日に登場して頂いている紀伊國屋書店 新宿本店のピクウィック・クラブさんが選定。どんな3冊を選んだのか?


◆『狼の太陽  マンディアルグ短編集』

著者:アンドレ・ピエール・ド マンディアルグ/翻訳者:生田耕作
出版社:白水社
定価(税込み):913円

「かっこいい」という基準は男女の感覚でも違うし、個人の感覚によっても異なってくる。だから一概に何がかっこいいかとは定義付け出来ないので、ここでは個人的な目から見たかっこいい本を紹介したい。
マンディアルグの何がかっこいいかというと、まず名前がかっこいい。「何の本読んでるの?」と聞かれて「マンディアルグ。」と答える。ほら、とてもかっこいい。
肝心の中身はどうかというと、長篇も素晴らしいが、特に短篇は完成された作品ばかりだ。元々短篇作家だったからだろうか、描写は一つ一つが細かく美しいし、詰め込まれた内容の素晴らしさはわざわざこの場を使って言うまでもない。他にも『オートバイ』等、短篇が読める作品集はあるが、特にこの『狼の太陽』は外れのない作品ばかり収録されており、読んで後悔することはまずない。ただし普段あまり小説を読まない人が「この作家の本読んでたらかっこよく見えるかな」という感覚でマンディアルグを選んだら大失敗する。「美術的」という言葉が当て嵌まるのだろうか。作品群の醸し出す絵画のような文章と情景は覚悟を決めて望まないと一瞬で目が眩み、投げ出してしまうかもしれない。それぐらいこの作家の作品を読むのには読書に対する耐性が必要とされる。だからこそ鞄の中にさらっとマンディアルグの本が入っていて、電車の中で何気なく読んでいるような人は、男女問わず間違いなくかっこいい。
しかし、読む時には一つだけ注意しておいて欲しい。マンディアルグ(特に後期の作品)を読んでいたら自分の性癖を疑われてしまうという致命的な欠点があるから。


◆『フラニーとゾーイー』

著者:ジェロ−ム・デ−ヴィド・サリンジャー/翻訳:野崎孝
出版社:新潮社
定価(税込み):499円

喫茶店や電車の中など、本を読んでいる人はよく見かけるけど、何を読んでいるかというより、その人の雰囲気がぼくは気になる。
そんな雰囲気を作り出す1冊が『フラニーとゾーイー』だ。
フラニーは周囲の状況に過敏に反応するも何とか自分を守ろうと頑張っている。そして、そんなフラニーに人生の楽しさを伝えようとするゾーイー。
フラニーもゾーイーも会話はちぐはぐだけど、そこには両者の主張がある。普段周りに流されがちな自分に反省し、ゾーイーのように「ぼくは自分の行くところには常に太陽を持ってゆくのさ」という台詞を言いたいがために明るくいようと前向きになる。そんな雰囲気を身にまとってゾーイーの洒落た台詞を口にすれば、女の子はもうメロメロ、のはず。「ぼくが汽車に乗るのが好きだからさ。結婚したらもう、窓際の席に座れないだろう」
なあんて。


◆『夜の果ての旅』

著者:セリーヌ/翻訳:生田耕作
出版社:中央公論新社
定価(税込み):(上巻)879円/(下巻)979円

思わずお近づきになりたくなるような異性には、何かしらの謎があることがポイントです。常に明るく、おちゃらけているだけでは、ちょっと物足りない。深追いしたくなるような魅力には事欠くと思ってしまうのが恋心の常であります。
倦怠、孤独、罵倒、嫌悪、暗黒、世の中へのありとあらゆる呪詛を含んだ「絶望の書」として名高いこの本が、向かい合った異性からチラリと垣間見えてしまった日には、どうでしょう。なんだか妙にそのひとのことが気になってしまうのです。たとえ相手が内容を知らなくても、タイトルがカッコよく、訳者が生田耕作というのもカッコよく、そして真っ黒い表紙から何か妖しく匂い立つものがあるはずです。
そしてこの本を見ても最後までついてきてくれた相手がいたら、もはや「モテモテ」を飛び越えて、その人こそ運命の相手かもしれません。なぜならこの本の絶望感は、単なる文化系おしゃれに徹する道具にしてはちょっと重荷だからです。
この本を愛せる、愛してしまったあなたに、たったひとりの運命の人からの限りのない羨望と寵愛を。


◇   ◇   ◇

【今回の書店】
紀伊國屋書店 新宿本店

住所:東京都新宿区新宿3-17-7
TEL:03-3354-0131
FAX:03-3354-0275

■アクセス
JR新宿駅東口より徒歩3分、 地下鉄丸の内線・副都心線・都営新宿線「新宿三丁目」B7、B8出口より徒歩1分(地下道より直結)

■営業時間
10:00AM〜9:00PM

■ウェブサイト
http://www.kinokuniya.co.jp/04f/d03/tokyo/01.htm


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