新築マンション購入失敗とトラブル共有の重要性

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 今回は、私の新築マンション購入失敗体験を報告する。

 私は2003年6月に東急不動産(販売代理:東急リバブル)から、東京都江東区東陽の新築分譲マンション・「アルス301号室」を2870万円で購入した。

 当時、私は江東区内の賃貸マンションに住んでいたが、下記の問題があり、引越しを検討していた。

 第一に、当該マンションは築年数が古く、窓が少ないため、日当たりが悪く底冷えした。
 第二に、同じ理由から通風も悪くカビが生えた。
 第三に、永代通りという大通りに面しており、車の騒音に加え、飲み屋もあって夜間も酔客で騒がしかった。

 引越先は賃貸だけでなく、分譲も検討に含めた。賃貸に比べて分譲が経済的に有利かという点は一概に判断できないが、環境の悪い賃貸に居住していると、可能ならば自分の所有している家に住みたいと考えるものである。

 東急リバブル販売担当者が勧めた301号室は、二面採光・通風が確保されている上、永代通りから一歩奥まったところにあり、賃貸マンションと比べて環境面での好条件が期待できた。加えて販売担当者は、東急不動産及び東急リバブルの大企業としての信頼性を強調した。結果的には大失敗であったが、これが東急物件を購入する決め手となった。

 301号室の販売価格は3060万円であったが、販売担当者は四半期締めの6月中の契約締結という条件で、2870万円への値引きを提案した。私が具体的な話をする前から値引きを持ちかけており、販売価格には二重価格的な意味合いが強かったものと推測する。

 青田売りのアルスは、2003年9月末に竣工し、無事に引渡しが終わった。しかし、引渡しから1年にも満たないうちに301号室の窓が接する隣地で建て替え工事が始まり、日中でも深夜のように一面が真っ暗になってしまった。至近距離に壁が接するため、通風も悪化し、冬場は窓枠に結露が生じるようになった。

 後日知ったことであるが、隣地所有者は東急不動産側にアルス竣工後の隣地建て替えを伝え、東急不動産側は影響がある住戸の購入者に説明することを約束していた。それにもかかわらず、販売時は都合の悪い事実を隠し、だまし売りした。このため、私は消費者契約法(不利益事実不告知)に基づき、売買契約を取り消し、裁判で売買代金を取り戻した(自著『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』ロゴス社、2009年)。

 良好な住環境を求めて夢のマイホームを購入したつもりが、闇のマイホームとなってしまった。不利益事実(隣地建て替え)を知らなかったことが原因である。根本的な問題は、「消費者の信用が第一の大手不動産業者が嘘をつくはずがない」と東急不動産を信頼していたことである。東急不動産側からすれば、だましやすい理想的なカモに見えたのであろう。

 その後、東陽町の隣の南砂町でも、過去に同じような紛争があったことを知り、企業の体質的な問題であると実感した。数年前に東急不動産が分譲した南砂の新築マンションで引渡し後、隣地に高層マンションが建設され、日照0時間になった。ここでも東急側は、販売時には購入者に再開発計画を説明していなかった。

 歴史にifは禁物だが、南砂の紛争を購入時に認識していれば警戒できたかもしれない。悪意をもって、だまし売りする業者が営業していること自体が問題で、消費者が自衛しなければならない状態こそが本来誤りであるが、過去のトラブルを共有することは非常に大切なことである。

 私の購入時と比べると、現在では東急リバブルや東急不動産のトラブル情報がインターネット上を中心として広く流布している。これは好ましい傾向である。私も自身のトラブルを多くの人に伝えるために、微力を尽くすことが責務であると考えている。

(『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』著者 林田力)

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