次期日本代表監督について、報道もにわかに活気づいてきたね。監督を探して海外を飛び回っていた原強化委員長が帰国し、一部新聞などでは「候補は3人に絞り込まれた」との記事が躍っている。
その3人とは、元オランダ代表のスーパースターで、同国監督も務めたマルコ・ファンバステン、ポルトやサラゴサで指揮を執ったスペイン人のビクトル・フェルナンデス、それからエスパニョールをUEFA杯ファイナルに導いたこともあるエルネスト・バルベルデだ。
これが本当なら、3人はいずれ劣らぬビッグネームだし、攻撃サッカーが好きな原氏らしい人選だと思う。

しかし、いくらいいコックが来ても、材料や環境が良くなければ美味しい料理が作れるとは限らない。たとえ今、グアルディオラが日本代表監督になっても、バルセロナと同じサッカーができないのと同じことだ。

つまり、問題は監督の名前ではなく、選手のレベルアップはもちろん、日本サッカー協会としてどういうサッカーを求めて、どういう順序でステップアップしていくか、という明確なビジョンが必要だということだ。
3人のうちの誰が監督になってもかまわないが、逆に言えばビジョンがなければ誰がなっても同じだよね。

協会は掲げたビジョンに基づいた強化のカレンダーを作り、都度ノルマを設定し、新監督を常に評価していくという体制を取るべきだと思う。これまでのように、4年任せるというのが決まっているも同然の契約を結んでいてはダメだ。
先の南アフリカW杯は、決勝トーナメント進出という結果を残すことができたが、それまでの3年間という準備期間で、どれだけのものを上積みすることができたか、と考えるとやはり疑問は残る。大会直前でバクチを打った岡田監督が勝ったという、その結果だけを見て反省と検証を忘れては、また同じ過ちを繰り返すことになってしまう。

次期監督候補の名前が上がるのは盛り上がるし、楽しみではあるけど、その根底にあるべき一番大事なことは忘れちゃいけないね。(了)