【トヨタ SAI(サイ) 試乗記】プリウスから一歩踏み出した、ハイブリッド戦略の新機軸【レビュー:トヨタ】
ハイブリッドというエコでプレミアム感を表現した小さな高級車
ハイブリッド戦略を着々と進めるトヨタだが、その最新となるのがSAI(サイ)。先発のレクサスのHS250hと兄弟車となるミディアムセダンだ。本来プレミアムブランドであるレクサスと共通となると、どう差別化を図っているか気になるところだが、見た目も含めてこちらはトヨタのセダンらしさをアピールできており、レクサスと兄弟というよりもプリウス セダンと捉えたほうがわかりやすいかもしれない。
コンセプト自体は「小さな高級車」。これは開発主査が語るように以前あったプログレに端を発するモノで、単純にサイズだけで高級感を演出するのではなくほかの部分に求めているのがその中心にある。プログレの時代は単純に細部の質感であったのが、SAIではもちろんハイブリッドに対してプレミアムを見出している。
エンジンに重きを置いた力強い走りが味わえる
ただし、その乗り味はHS250hとは異なるから少々驚く。全体の乗り味のまとめ方は毎度お馴染みのトヨタのハイブリッドであることは前提としつつも、こちらのほうがエンジンに重きを置いた制御がされており、フィーリング的にもモーターに頼らない走りであることは感じ取れる。そもそもこちらの燃費は 23km/Lだ。
だからアクセルを踏めばエンジンによってグイグイと加速していくし、18インチのGグレードであればコーナリングのスタビリティも高い。ただ実用的なミディアムセダンというキャラクターに合わないというのも事実で、その際は16インチのほうがより自然で乗り心地もいいのでオススメだ。
またセダンで問われる使い勝手も、まずハイブリッドにしてはトランクが大きい。バッテリーはどうしてもリヤシートの後部に積まなくてならないので、パッケージング的に厳しくなりがち。レクサス LS600hLS600hLとてもかなり狭いラゲッジで、それをやっとマイナーチェンジで少し大きくするなど涙ぐましい努力をしていることを考えると、 SAI(サイ)のラゲッジはかなり広い。
また室内に関しても、形状はHS250hと同じだが、こちらはシンプルモダンを標榜して、派手さはないもののしっとりとした風合いで仕上げている。338万円という価格はミディアムセダンとして考えれば高いが、ハイブリッドなどのプレミアム性が加わっていることを考えれば、逆に安い。受注もかなり入っているようだが、12月上旬の時点では購入補助金に間に合う(トヨタ/レクサス唯一)だけに、さらに販売台数を伸ばすことは確実だろう。
代表グレード | トヨタ SAI(サイ) S ASパッケージ |
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ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 4615×1770×1495mm |
車両重量[kg] | 1570kg |
総排気量[cc] | 2362cc |
エンジン最高出力[ps(kw)/rpm] | 150ps(110kw)/6400rpm |
エンジン最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] | 19.1kg-m(187N・m)/4400rpm |
モーター最高出力[ps(kw)] | 143ps(105kw) |
モーター最大トルク[kg-m(N・m)] | 27.5kg-m(270N・m) |
ミッション | 電気式無段変速機 |
10・15モード燃費[km/l] | 23.0km/l |
定員[人] | 5人 |
税込価格[万円] | 385.0万円 |
発売日 | 2009/10/20 |
レポート | 近藤暁史 |
写真 | 近藤暁史 |